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普段から事業の進捗状況を共有 迅速な資金調達が実現

2012.08.10

大型のモニター画面を使って商品・サービスの最新情報を発信する新たな電子広告媒体として注目を集めるデジタルサイネージ。その認知は徐々に広がりつつあるものの、中小・零細事業主にはまだ縁遠い感覚だ。「営業ではデジタルサイネージという言葉は使わず、販売促進の一つの方法として映像を使う方法があると説明して回っている」と木村氏は話す。

大阪を中心に理美容グループ店を展開する中で、自らさまざまな販促手法を試みるうちにデジタルサイネージの活用に可能性を感じ、販促部門を分社化してできたのがキャスト。「小規模店でこそもっと使われるべき」と、利用期間に応じ課金することで月額1万5千円~と、従来サービスに比べ大幅に利用料金を抑えた。だが小規模事業者には、効果が出るかどうかわからないサービスに一定額を投入し続ける余力はない。そこであわせて提案しているのが、デジタルサイネージならではの効果測定手法だ。

某自動車販売店では、画面を操作した顧客が広告主に見積もりを依頼し、契約にまで至る確率を測定できるように仕組み化した。また、特定の商品をモニターで集中的に発信したところ前年比売上が大幅に伸びたケースもあり、「そうした具体的実績を重ねていくことで費用対効果を説明し、理解してもらえるビジネスモデルを確立したい」と意気込む。

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販促手法の中でもデジタルサイネージは新たな領域で、進化のスピードも速い。それだけに金融機関との円滑な関係を築くには、「単に財務状況を見てもらうだけでなく業界を取り巻く状況とその中で当社がどのような強みを持ち、実際にどこまで事業が進んでいるのかをしっかりと伝えることが重要」と、普段から尼崎信用金庫の担当者とは頻繁な情報交換を欠かさない。デジタルサイネージで発信するコンテンツはすべてインターネットを通じたASP方式で提供しているため、事業の進捗に合わせ情報を蓄積するサーバをいかに整備できるかがビジネスを左右する。

夏場からサービス提供先がさらに増えることを見越して5月に急きょサーバへの投資を決断した際には、尼崎信用金庫からすぐにゴーサインが出された。「普段から包み隠さずお話しして信頼関係を保つことで迅速に判断してもらうことができた」と木村氏。増強されるサーバを武器に、今後は商業ビルや商店街などにも提案営業を強化していく。

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▲事業者(店舗)側はモニターと放映端末をつなぎネットワークと結ぶだけ。キャストがターゲット別にコンテンツの配信内容を管理する。

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▲ ゴルフショップに設置した自動車販売店のデジタルサイネージ広告。ターゲット層へのダイレクトマーケティングが実現する。


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尼崎信用金庫 天満橋支店
支店長 枩本好代氏

http://www.amashin.co.jp/

 以前のように資金需要が旺盛でない今の時代は、金融機関も過当な競争に陥りがちです。そこで私たちが大切にしているのは、お客様と普段から親密な関係を構築すること。お互いに率直に意見を交換し合う中から新たな提案が出され、そこに生まれてくる資金ニーズに対して融資を行うことです。とくにデジタルサイネージのような新たなサービスについては職員も知識不足のところがあり、キャストさんに教えてもらいながら事業の理解を深めていきました。他企業との連携や社員の研修などにも積極的に取り組もうとしておられるので、異業種交流会やセミナーなどの情報も提供し、事業を側面からお手伝いしていきたいです。

株式会社キャスト

代表取締役

木村 巧氏

http://castgrp.jp/

設立/2000年

資本金/3,000万円

従業員数/12名

事業内容/映像などのコンテンツ企画、製作から、配信まですべてを一貫して手がける。一定期間のリサーチデータをもとに次のターゲットの設定、配信手法などを提案し、効果を高めている。