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友情から誕生したボール洗浄機 商談会出展で新たな販路を開拓

2012.08.10

サッカー場や野球場などの天然芝生はメンテナンス費用が高く、芝の状態をきれいに保つには年間60試合程度に抑える必要がある。そこで代替機能を果たすのが人工芝生だ。

協和産商はスポーツ施設の人工芝生施工で20年を超える実績を持つ。学校など公共施設の内外装工事業からスタートした同社。高校・大学とサッカー部に所属し、日韓親善試合にも出場経験のある山本社長が平成元年、人工芝生を手がけるスポーツ施設部を立ち上げた。

「人工芝生の施工技術は価格も含めてどこにも負けませんよ」と自負する同氏。事業拡大の要因は施工技術の高さはもちろん、同氏の人柄も一役買っている。「相手がお客さんだろうが仕入先だろうが、お互いの名前は呼び捨て」と語るように、施工チームの一員として社内外分け隔てなく、同等の立場で振る舞う独自のコミュニケーションスタイルで厚い信頼を得ている。

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実は2008年、大阪の金物工場を買収した。その工場の経営者は、同氏と共に高校・大学時代、サッカー部で汗を流した50年来の親友・関田明氏。「その彼が白血病にかかり、死の宣告後に奇跡的に助かりました。命を拾った男をなんとかせなあかんと思って…」。経営環境が厳しい時期での工場買収。恐る恐る家族に相談すると「偉い!」と勇気づけられた。家族の協力があったからこそ実現した工場救済策は、はからずも新たな展開につながっている。金物加工技術を活かし、「ボール洗浄機」の開発に結びついたのだ。

今では、人工芝生事業で培ったスポーツ関連企業に向けて、「ボール洗浄機」を販売している。さらに販路を広げるべく、昨夏には大阪厚生信用金庫の勧めで大阪産業創造館と府下10信用金庫が主催する商談会にも出展。「これからも金融機関のネットワークを活かした販路拡大を期待している」という。

現在は息子2人も同社で働く。長男は前職時代の経験を活かし、屋内外看板などを手がけるSD事業部を新設、3事業のうち最も伸び盛りだという。

工場経営や看板制作は本業とは関連がないように思える。しかし、金物加工技術を活かしてボール洗浄機を開発したり、学校やスポーツ施設の看板・サイン施工も手がけるなど、結果として業容を広げるきっかけとなった。すべての事業が本業とリンクし、相乗効果を生み出す経営を続けていく考えだ。

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▲サッカー場、野球場、フットサル場、テニス場など各種レジャー施設、スポーツ施設の人工芝生を手がける。人工芝生に砂を混ぜる独特の施工技術のみならず膨大な設備投資も必要なので、他社の新規参入は難しいという。

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▲大型インクジェットプリンタを6台保有する。公共施設部やスポーツ施設部で施工を担当した施設の屋内外サインを手がけるなど、本業との相乗効果を発揮している。大阪・神戸マラソンの街中サインはすべて同社が担当。

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▲「フットサル場のボールが汚れて困っている」との相談から誕生したボール洗浄機。水を使わずボールがピカピカに洗えるという。実用新案を取得済みで、事業化をめざしている。


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大阪厚生信用金庫 西田辺支店
営業課課長 宇山正臣氏

http://www.co-sei.co.jp/

 約2年前に担当になり、創業時から現在に至る事業の経緯を山本社長にひと通り話をしていただきました。何より社長のお人柄にふれ、信頼できる方だなと思いました。山本社長からは、業界の取引慣習の悩みをお伺いしたこともありますので、いつでもご協力させていただければと思っています。本業に加えて事業の3本柱を打ち立て、それぞれに成長させるなど盤石な経営基盤を構築されています。これからも事業展開に役立つセミナーや商談会などの情報もお伝えしていきながら、当金庫を挙げて応援させていただきます。

協和産商株式会社

代表取締役

山本 昇氏

http://www.kyowa-ss.co.jp/

設立/1968年

資本金/1,000万円

従業員数/25名

事業内容/学校の内外装工事全般を行う公共施設部、スポーツ施設の人工芝生及び内装工事を行うスポーツ施設部、サイン・ディスプレイを手がけるSD事業部の3本柱で展開する。2008年には金物工場の経営も引き継いでいる。