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介護分野で次々に業容拡大 銀行の情報力とネットワークがカギ

2012.08.10

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学習塾を経営していた依田氏が、介護保険制度のスタートに合わせて大阪府内に3つの訪問介護ステーションを設け、介護事業に進出したのは2000年のことだ。将来性のある事業分野を狙って多くの企業が新規参入を果たす中で「介護福祉士養成の専門学校も経営しており、人を大切にし、磨き上げることができる」強みをアピール。当初から上場をめざし、事業会社やベンチャーキャピタル(VC)から出資を募って5億円ほどが集まった。りそな銀行とはその頃からの付き合いだ。「経営幹部の人材を紹介してもらったり、系列のVCからも資金も調達してもらった」と草創期を振り返る。

2003年には大阪証券取引所「ヘラクレス」へ早くも株式上場を果たすなど事業は順風満帆に見えたが、介護報酬の改定、さらに東京への積極出店が過大負担となり上場の翌年に赤字を計上する。やむなく給与の7%カットに踏み切ると、「人を大切にする会社だったはず」とスタッフがそっぽを向き、腹心の常務も会社を離れた。

「一度失った信頼を取り返すまでが大変でした」と依田氏は当時を振り返る。来る日も来る日も事業所を回り、スタッフ一人ひとりと直接対話を重ね、理解を求めて歩いた。業績が黒字に転換するとすぐに給料を元に戻し、1年後には常務も復帰したが、そのときの手痛い経験が現在の同社の人材育成の礎となった。

「介護事業は働く人のモチベーションで成り立っている」。その後、研修制度の充実を図り、リーダー育成のためのコーチング研修にも力を入れた。実力があれば昇進できる人事制度を導入し、パートから事業所の主任になる女性社員も誕生。スタッフとの面談で依田氏が確認するのは「仕事が楽しいかどうか」。「楽しくない」の理由があれば、徹底的に追及し、人事制度にも反映する。

さらに、「人がもっとも成長するのは誰かにものを教える時」と考え、今年度は新たに60の介護施設を開設する計画だ。各施設で、先輩社員と新人による新たなチームが組成され、教える側も教えられる側も一緒に育っていく仕組みができ、上場介護会社No.1の売上伸張率(対前年30%増)が達成できた。

福祉用具のレンタルや介護タクシーなど、介護分野で次々と業容を拡げる中、今年度からは「高齢者で介護が必要な人は約1割。健康な9割をターゲットにしたビジネスも」と高齢者のためのコミュニティスペース『マザーズカフェ』事業も始めた。「これまで新たな展開を考える時はりそな銀行に相談してきた。物件や立地探しでも力になってくれ、事業の発展には欠かせないパートナー」だ。金融機関の後押しを受け「2035年には業界で日本一をめざす」と力強く宣言する。

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▲「たのしい家」「たのしいデイ」の名称で介護付有料老人ホームとグループホームをバランスよく展開する。
関東圏・関西圏・名古屋・福岡で運営しており、今年も積極的に拠点を増やす。

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▲4つのステーションで提供している介護タクシーの運転手はすべて2級以上のヘルパー資格を持つ。
車いすの利用にも対応しており、買い物や趣味の外出など幅広い利用がある。


りそな銀行 大阪地域 天六エリア
営業第一部 担当マネージャー 中村敦士氏

http://www.resona-gr.co.jp/
創業時よりお取引いただいている金融機関として、資金ニーズにお応えするのはもちろんのこと、金融面だけでなく、施設や専門学校を整備する際の物件紹介、社内体制のお手伝い、スポンサーの紹介など、当社のグループ会社のネットワークを今後も活用いただければと思っています。そのためにも、普段から事業の進捗について情報を共有させてもらい、距離感を縮めていきながら、お困りのことがあれば何でもご相談いただける関係を築いておくことが大切だと考えています。

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株式会社ケア21

代表取締役社長

依田 平氏

http://www.care21.co.jp/

設立/1993年資本金/6億3,336万円従業員数/3,900名事業内容/訪問介護、居宅介護支援、有料老人ホーム・グループホーム・デイサービス等を中心に全国で190の事業所を展開。今年度から元気な高齢者が集うコミュニティスペース「マザーズカフェ」の運営も開始。