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紙から漂ういい香り正体は香料入りインキ

久保井インキは、1946年の創業から一貫して印刷用インキを製造。高度経済成長期以降、大量生産の大手と肩を並べるのではなく、より付加価値の高いインキの生産に舵を取る。紙幣の透かし印刷用をはじめ、温度変化で発色するものなど、さまざまな特殊インキを開発から手がけてきた。

とりわけ注力したのは、アメリカの企業が60年ほど前に開発した「マイクロカプセル」の技術。香料入りのカプセルをインキに混ぜ込めば、香る印刷物をつくることができる。擦れば香りが漂う。同社は大学とも連携し、カプセルのつくり方から研究。極小サイズなら閉じ込めた油分も染み出ない。原料の配合などを工夫し、当初は10ミクロンほどあったカプセルを2ミクロン以下でつくることに成功した。そうして誕生した独自の香料入りインキは、スピーディで廉価なオフセット印刷にも対応。創業以来のベーシックな技術と新しい要素を組み合わせ、全国でも久保井インキだけが生み出せる製品となった。

香料の配合次第でどんな香りも埋め込めるため、大手メーカー製洗剤の香りサンプルにも使われてきた同製品。一般消費者向けには「香り印刷ドットコム」というサイトを自ら運営。3~5年ほど香りが続く名刺やチラシづくりを請け負う。課題は、印刷工程の内製化とさらなる小ロット対応。名刺100枚単位の注文から納品までを自社で行う体制をめざす。さらに、「香り印刷」によるマーケットを創出し、新たな用途も生み出していきたいと意気込んでいる。

kubiiinki
▲擦ると香りがする。名刺やポストカード、印刷できるものであれば、パッケージなど立体物にも使用できる。

kaoriinnsatu
▲「香り印刷ドットコム」のホームページ。事例を紹介し問い合わせにも対応。

久保井社長2
代表取締役社長 久保井 伸輔氏

(文・写真/衛藤真奈実)

2015年06月09日
久保井インキ株式会社
代表取締役社長  
久保井 伸輔氏

印刷用インキの製造・販売。市場把握から研究開発、生産、品質管理まで自社一貫体制を築く。特殊インキで新たなマーケット創出をめざす。

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