絆も深まるパドルスポーツを、さらに普及へ
悠然たる大自然に入り込み、激流を全身で体感できるラフティング、自然と対話できるカヌー、昨今人気が高まっているSUPなどのパドルスポーツ。昨年入社し、今は広報などを担当する平澤氏も、その楽しさに魅了された一人だ。「アウトドアが大好き!というタイプではありませんでしたが、ラフティングは1度でハマりましたね。スタッフのトークも面白くて、思わず当社の門を叩いていました」と、自らの体験をもとに、事業の意義を熱く語る。
1970年にカヌーの競技選手だった代表の青木勇氏により、カヌースクールとしてスタートした同社。1985年には日本初のプロガイドによるラフティングを開催するなど、パイオニア的存在だ。現在は、パドルスポーツ全般のイベントの企画・運営や、物販を手掛ける。
ラフティングは、非日常をカジュアルに感じられる遊びだけに、“面白そうだけど、危険は無いのだろうか?”という疑問を持つ人も少なくない。その問いに対し「徹底して安全管理された環境で実施しますので、極めて安全なスポーツです」と、シニアガイドの青木氏は断言する。また、インストラクターの育成にも注力。筆記やレスキューといった研修や、3人の試験官のうち2人が合格を出さなければ通らない厳しい実地試験のクリアが必要になる。「川の流れを読むなど、自然相手ならではの経験値が必要。一人前と言われるまでに、3年ほどかかりますね」と青木氏。厳しい訓練を経たインストラクターたちが、エンターテインメントの提供と安全の確保を両立させる。
数々の実績から、大手旅行代理店などと取引し、順調な業績を重ねる同社だが、2020年に、新型コロナウイルス感染症の大波が襲った。感染リスクへの危惧よりも、“派手に遊んではいけない”という社会の自粛ムードの煽りを受け、売上げはピーク時に比べて、一時期8割も激減したという。ただ、悪いことばかりでは無かった。「遠出ができない修学旅行の受け皿として、学びと遊びの双方を体験できるパドルスポーツのニーズが急増し、多くの案件を引き受けました」と、平澤氏。「組織の絆が深まるので、企業のレクリエーションに使われることも多いですよ」と、奥深さをPRする。
長年にわたる実績のある同社には、行政からの信頼も厚い。「激流で培ってきたノウハウを評価して頂いてると思う。コロナ禍はピンチだったが、次のステップに向けたチャンスでもある。今後もっと、魅力を広めていきますよ」と、意気込む青木氏。アフターコロナの大波に乗るべく、同社はすでに漕ぎ出している。
(取材・文/仲西俊光)