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つなぎ役を自認し、永続できる企業へ

代表取締役 西尾 はるみ氏

「去年、こんなん50枚刷ったんです」。そう言いながらはるみ氏が差し出したのは、A3を二つ折りにした会社案内。

見開くと、「こんなん作ってます」と書いた左のページには金型の補助部品で精度が要求される「スリ板」が、「こんなんできるようになりました」と書かれた右のページには歪みが出ないようにするための「焼入れ後のピン穴開け加工」がそれぞれ大きく写真入りで紹介されている。

汎用工作機械を多用し、手仕上げにこだわっている。

また「お客様から拾った声」として「手仕上げが美しい」「できない時ははっきり断ってくれる」などの言葉も入れた。これらははるみ氏が取引先を訪ねてヒアリングした内容をもとに書かれたものだ。「自分たちでは当たり前だと思っていたことが実は強みなんだということが外の方に聞いて初めてわかりました」。

A3サイズにまとめられた会社案内。

新しい会社案内ができたことをキッカケに長年取引が途絶えていた先に連絡をし、あらためて営業をかけたところ取引につながった先も多く、会社案内の効果を実感している。

同社が手がけるのは自動車や船舶のエンジン部品をつくるための熱間鍛造用に使われる金型部品だ。汎用とNCの工作機械を組み合わせた丁寧な仕事ぶりで信用を築いてきたが、2008年のリーマンショックで売上げが3割に激減。当時社長だった夫の一夫氏と二人三脚で守り抜いてきた家業存続の危機に直面する。

図面の理解力や、仕上がりの精度が高いことが同社の強み。

そこで待ち仕事からの脱却を決断し、外に注文を取りに出ることにした。営業を任されたのは経理を担当してきたはるみ氏。以来、外部の営業研修などに参加し、鍛造部品メーカーをリストアップし訪ねて回った。

技術に精通しているわけではなかったが、わからないことは率直に尋ねる誠実な姿勢が好感を持たれ仕事を呼び寄せた。会社案内の作成も、外部の研修で教わったことを素直に実践に移してできたものだ。

従業員は系列会社を含め8人。40代が中心だ。

一夫氏がはるみ氏に社長職を託したのは今年6月のこと。「私が表に出るより取引先と良い関係を築いてくれている。この業界でも女性ならではの新しい視点が重要になってくる」と全幅の信頼を寄せる。

社長交代の理由はもう一つある。「うちは娘1人しかおりませんので、取引先からは後継者がおらん会社とは仕事を減らしていかざるをえないと言われましてね」。

取締役会長 西尾 一夫氏

そう話す一夫氏は72歳。65歳のはるみ氏は「私の役割は次の世代につないでいくこと。若い技術者が定着してきているので彼らにどんなものを作りたいのか、どんな会社にしていきたいのかを聞いて反映させていきたいと思っているんです。もちろん取締役に昇格してもらった娘にも」。

つなぎ役を自認し、永続できる企業をめざす。

(取材・文/山口裕史 写真/掛川マサヤ)

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2017年10月04日
株式会社末広機械製作所
代表取締役  
西尾 はるみ氏
事業内容/切削、穴開けなど各種金属加工
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