≪講演録≫OSAKA創業フェア2017 基調講演② アトリエはるか
理想の場所に初出店するチャンスをつかむ
それから1ヵ月後、ケータイが鳴りました。「セントラルパークです。西原さんがおっしゃってた事業やってみませんか」と。私は、「ぜひお願いします」と答えました。つぎに、会社をつくってくださいと言われました。「わかりました」。でもどうしたらいい? そこで、合コンで培った人脈を駆使しますが知り合いがおらず、タウンページで調べた司法書士さんにお願いして会社をつくりました。
つぎに、ヘアメイクさんはどこにいるんだろうと。当時は、リクルートの女性向け求人誌が有名でした。ここも合コンの人脈でリクルートに連絡。その場で掲載内容の相談をし、連絡先はケータイではまずいと祖母の部屋の固定電話に。それでも30名の応募があって、フィーリングの合う人を4名採用しました。
鏡と椅子と机と人がいればできる商売なので、最初のお店は居抜き物件を借りました。資金は、2年間勤めたOL時代の貯金です。お店ができるまで私の実家に集まって相談。事業計画というより、「いくらだったら勝負のヘアメイクに行く?」「何分だったらOK?」。そんなふうにお店づくりをしていきました。
集客は手書きのチラシをコピーしてひたすら手配り。誰かの目に触れればなんとかなる、その誰かがお客様を連れてきてくれたらラッキーと、とてもポジティブに考えていました。
いろんなことを明文化して危機を脱出
目の前にあることを改善すれば前に進める。昨日より今日、今日より明日を良くする思いで17年間やってきましたが、大きな苦労もいくつかありました。
創業5、6年目の頃、人がびっくりするほど辞めていくんです。1店舗にスタッフ1名という状態もあり、その子たちに休憩をとらせるために私が店舗を回る日々が続きました。「一生懸命やってるし、みんなのことこんなに思っているのになんで?」と私は思っていました。
よく聞いてみると、「何をがんばればいいのかわからない」とのこと。それなら、みんなのわかる形にしようと、就業規則や企業理念などを明文化していきました。気持ちだけで働くのではなく、誰もがいつでも仕事や会社について語れるようにしたんです。そこから店舗がどんどん増えていきました。
やりたいことを素直に出せば、応援してくれる人がでてくる
私は、「こんなものがあったら便利だろうな」というひらめきで起業しました。頭が良いわけでも、特別なスキルがあるわけでもない私の話を、インフォメーションのお姉さんが営業部の方に伝えてくださったお陰です。
人が背中を押してくれたり、チャンスをくれるので、人との結びつきが起業を成功に導いてくれると思っています。自分のやりたいことを素直に出していけば、応援してくれる人が必ずいるはずです。
創業以来、毎月スタッフに夢を書いてもらう「夢シート」を大切にしています。夢を実現するためには収入も必要。そのために利益を上げるという目的をもって「アトリエはるか」を大きくしてきました。これからも毎月一つ一つの夢に目を通し、全員の夢が叶えられる企業をつくっていきたいと思います。
(取材・文/花谷知子)