実は高いとこより、地中のほうがツライんです
「プロポーズしたかったんで、今の職場に転職したんです」。
照れることなくこの言葉をいえる男は、そうはいない。そこに責任感の強さがにじむ。
車載クレーンと長いハシゴを操りながら、電信柱の地上10m近くまでのぼり、ケーブルを設置する。最近は、光ケーブルの工事が増えた。
最低でも3人で作業を行うためチームワークが問われるが、「むずかしいこともあるけど、計画通りに全員が役割を果たして、うまくケーブルを通せたときの達成感が最高」。それが次の仕事のモチベーションにもなっているという。
上にのぼれば、高圧・低圧の電気が流れている付近で作業するので、注意が必要になる。自分が落下する危険だけでなく、通行者に迷惑をかけないように、使う道具の落下にも細心の注意を払う。
高所での作業は怖かったが、「怖さを知っている方が身を守る意識を強くもてる」と思い直したとか。携帯電話アンテナの撤去や交換の工事で、高さ40mの鉄塔にものぼる。「風が強いと揺れがすごい。でも、命綱はガッチリしているので、信じて作業してます」と胸の内を語る。
意外にも、これまでで一番ツラかったのは、地中にケーブルを設置する工事だったという。ケーブル用のマンホールから水を抜き、硫黄のにおいの中で酸素濃度を測りながらの作業。「ケーブルの長さが280mもあって、しかも地中で見えなくて大変でした」と苦笑い。
今年は、電気工事士と施工管理技士の資格取得に挑みたいと意気込む。
(取材・文/工藤拓路 写真/福永浩二)
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