≪講演録≫“ものづくり×ダイバーシティ”多様な人材の活用で企業を活性化!
■第2部 パネルディスカッション「ものづくりなでしこ パネルディスカッション」
パネラー:渡邊 弘子氏
伊藤 麻美氏(日本電鍍工業株式会社 代表取締役)
辰巳 施智子氏(辰巳工業株式会社 代表取締役会長)
「ものづくりなでしこ」は、製造業の女性経営者と経営者をめざす女性、そして男性経営者など賛同者であるサポーター会員を含む約160名の会。女性同士でまとまるのではなく、男性の意見を聞き、また男性にも意見を発信する組織をめざしている。
「ものづくりなでしこ」に所属するメリットについて
渡邊氏は、「製造業の女性経営者は僅かだが、業界を限定しなければ、さまざまなことを共有できる人たちがいることがわかる。製造業の経営者として抱えている悩みや課題がとても近い。勉強になり、刺激になって、自分の世界が広がった」。
伊藤氏は、「本音で話しあって、一緒に成長しよう。困っているのであれば助け合おうという温かい方ばかり。悩みや問題を解決する方法を誰かが発してくれる」。
辰巳氏は、「会員相互の会社見学を通して、さまざまな業種を拝見できる。社会を良くしようという精神にあふれている人たちに出会えた」と話した。
「世代間の考え方の相違、多様化する働き方のなかで、どうやってマネジメントするか」という参加者からの質問に対して、
渡邊氏は、「異端をつくらない、異端だと思わない、が自分の経営方針のひとつ。何歳だから、若者だからではなく、個人としてみるようにしてはどうか」。
伊藤氏は、「ブラザー・シスター制度といって、新入社員には少し年上のお兄さんやお姉さんをつけ、仕事以外の部分も伝えるようにしている。実際、日常のマナーから教えないといけないが、それが上の世代とギクシャクする要因にもなるので、そこを緩和するのも経営者の仕事だと思う」。
辰巳氏は、「当社は平均年齢37歳、離職率がほぼゼロという会社に25年かけてなった。理由は、福利厚生が行き届いているからと社員が言う。消費税アップ手当、ボランティア手当など、社員が望む手当をつけてきた。茶髪だ、ピアスだ、ズボンが下がっているという社員でも、信じてやっていれば生産性は上がる」とアドバイスした。
最後に、伊藤氏から「ものづくりなでしこ」の今後について、
「娘だから跡を継がせない、婿をとらなくてはいけないという発想が薄まればと思っている。将来的には、男性・女性の区別なく経営者として全員が認められる世の中にしたい。さまざまな勉強会や工場見学会などを企画して、積極的に行動していきたい」と述べた。
(取材・文/花谷知子)