看護師が週1時間から働けるサービス「おうちで看護」
【起業家図鑑】
大阪産業創造館 スタートアップ支援チームのプランナーが月替わりで起業家を紹介する連載コラム。
起業を志したキッカケや、困難に直面したとき乗り越えた方法、また事業を軌道に乗せるために必要なことなど。一歩先をいく先輩起業家の体験談をプランナー目線で紹介します。
vol.2 看護師が週1時間から働けるサービス「おうちで看護」
内閣府が平成25年に行った調査によると「治る見込みがない病気になった場合、どこで最期を迎えたいか」という質問に対し、「自宅」とこたえた人が54.6%、「病院などの医療施設」とこたえた人が27.7%という結果でした。(引用:内閣府 平成25年版 高齢社会白書(全体版))
しかし実際には、自宅で最期をむかえる高齢者は15%程度。その原因として、在宅医療を支える訪問看護師が圧倒的に不足していることが挙げられています。厚生労働省が在宅医療普及のために必要な看護師は後10年で約50万人と言われています。
一方で、看護師の資格をもちながら看護師の職についていない人数は約70万人。そもそも看護師を離職した理由は「出産・育児」が最も多く、復職したくても育児と勤務の両立が難しい。復職が可能になっても数年のブランクが発生することによる不安から復職しない人が多いのが現状です。
藤戸氏は、近親者4人の最期を在宅で見送りました。しかし、これは親族に医療関係者が多いことからできたこと。これを機に、できる限り多くの人が自宅で療養し、愛する家族と共に最期を迎えることが出来る環境づくりに貢献したいと考えるようになり、看護師が週1時間から働けるサービス「おうちで看護」を立ち上げました。
看護師が家庭を訪問し在宅ケアを行う訪問看護は、患者の情報を紙ベースで共有しているため、訪問看護ステーションに看護師が立ち寄る必要があります。藤戸氏が開発した情報共有システムでは、看護師は自宅から現場まで直行直帰できるようになるというもの。
▲代表取締役CEO 藤戸 達也氏
実際、開発したシステムを訪問看護ステーションの責任者に提案すると、IT化に非常に抵抗がある業界であることがわかりました。そこで実際の現場をより理解するために、共同経営者でもあるシステムエンジニアが1ヶ月間のインターンシップをステーションで行い、システムの使い勝手をヒアリングし、手直しを繰り返しました。
業務の効率化がステーションの存続にもかかわる中で、このシステムをステーションに提供し、復職を希望する看護師を繋ぐことで、看護師不足の解決と、在宅医療の普及促進に貢献したいと日々奔走しています。
(取材・文/大阪産業創造館 スタートアップ支援チーム プランナー 松原 美華)
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