最初に動きなさい
2016.05.12
英語の先生からかけられた言葉が、引っ込み思案だった少女を変えた。「人にどう思われるか」を気にするあまり、なかなか行動を起こせなかった高校時代。商社に勤務していた時も起業した時も、この言葉が扉を開いてくれた。
「失敗して恥をかいたとしても何を失うのか。挑戦もしないで終わっていく人生でいいのか」。そう自問した時、出てくる答えはいつも「動く」ことだった。できるかどうかわからなくても、まずは手を挙げる。計画してから立ち上げるのではなく、立ち上げてから軌道修正すればいいんだと。
化粧品原料の卸からスタートして15年。顧客ニーズに応えていくうち、いつしか化粧品メーカーに。主力とするオーガニック製品は消費期限が短く、要冷蔵など流通にもひと手間かかるうえ、製品化は容易ではない。それでも挑戦するきっかけとなったのは、あるユーザーからの声。有機栽培の原料を持ち込み、これで化粧品を作ってほしいと打診されたことだった。
開発は年単位。根気のいる仕事だ。でも挑戦するたびに経験も知識も広がった。もし失敗したとしても次につながっていくことを学んだ。「だからやっぱり、最初に動くんです」と岡田氏。
今年4月には四天王寺でイスラム教徒向けのネイルサロンを立ち上げた。日本ではまだほとんど存在しないムスリムフレンドリーのサロンだ。
アルコールや豚を原料に含まないネイルポリッシュを開発。イスラムの戒律に抵触することなく、日本のおもてなしと繊細なネイルアートを楽しんでもらいたいと考えている。
宗教上のタブーや文化的背景など、まだまだ知らないことは多い。しかし手探りでも、まずは動きながら進める。「最初に動けば」道は拓ける。
▲株式会社シリスジャパン 代表取締役 岡田 今日子氏
（文・写真／北浦あかね）
