ダム湖を「遊び場」に 地形を活かした重力系アクティビティ

茨木市の中心部から北へ約7km。市街地と山間部の境に「日本最長」を誇る全長420mの歩行者用吊り橋がある。2025年3月に開業した「GRAVITATE OSAKA(グラビテートオオサカ)」のランドマーク「GODA BRIDGE(ゴウダブリッジ)」だ。橋が架かるのは安威川ダムのダム湖で、湖面からの高さは約55m。その高さを活かし、バンジージャンプやスイングなど、重力を体感するアクティビティを提供している。

湖面から約55mの高さから落ちる「ブリッジバンジー」。

大空に向かって飛び出す「ブリッジスイング」。
橋の両端を支える「主塔」も特長のひとつで、地形の制約から左右非対称に設計されており、片側の主塔はV字型。その上部をデッキがつないでいる。この独特な形状を活かし、階段で塔の頂上へ上ってデッキを渡るアクティビティも生まれた。地上60mからダム湖一帯を見渡す、橋の構造そのものを活かしたアクティビティだ。

階段で塔の頂上へ上ってデッキを渡る「ブリッジクライム」
「日本一ユニークな体験ができる場所をめざしています」と語るのは、施設を運営するGravity Park Ibaraki(グラビティパークイバラキ)株式会社の山崎氏。同社は、ニュージーランド出身のDavid Scott(デイヴィッド スコット)氏が2018年に設立したGravity Park Holdingsを親会社に持つ。Scott氏は屋外アクティビティ施設の運営やコンサルティングに携わり、2019年には埼玉県秩父市の渓谷に吊り橋を使った複合アクティビティ施設を開業。その後、茨木市が公募した安威川ダム周辺整備事業に参画し、建設に向けた準備が本格化した2022年、現地の施設運営を担う子会社としてGravity Park Ibarakiを設立した。

オペレーションマネージャー 山崎 修氏
完成したのは大阪・関西万博の開幕直前。「当初はインバウンド客の来場を見込んでいたものの、期待ほどは伸びなかった」という一方、オープンから約4か月で累計来場者が10万人を突破した。開業後に見えてきたのは、想定以上に幅広い利用者層だった。「重力系アクティビティの客層は予想以上に広いことがわかりました。中心は20~30代の若年層ですが、上は80代まで利用されます。また、一部のコアなファンのリピートが多いと予想していましたが、初めて挑戦する方が多数いらっしゃいます」と山崎氏。

建築の様子。
一方で、この種のアクティビティには年齢制限が付き物だ。そこで季節に合わせて鯉のぼりを飾ったり、射的や夏季限定の水上ふわふわ遊具、冬季のイルミネーションなど、子どもや家族連れも楽しめる企画を展開してきた。「今後はファミリー層がもっと楽しめるよう、子ども向けコンテンツを充実させていきたい」と展望を語る。

イルミネーションの様子。
遊びを施設内だけで完結させないことも、同社がめざすところだ。併設のカフェでは地元の農産物を使ったスイーツなども提供。GRAVITATE OSAKAは、ダム周辺に整備された都市公園「ダムパークいばきた」の構成施設でもあり、施設への来場を茨木市北部の交流人口増加につなげる役割も期待されている。「ここは“山”と“まち”の結節点で、北部の交流人口を増やすハブとしての役割も担っています。日本一の吊り橋をフックに市内外から、さらには海外からも人を呼び込み、ここからさらに山間部の観光農園などへ足を運ぶ流れを生み出せたら最高ですね」。

(取材・文/福希楽喜 写真/福永浩二)









