「安心して遊べる」を形に ウレタンから広がる遊び場づくり

商業施設やカーディーラーなどで見かけるキッズスペース。子どもが安心して遊べる場であると同時に、コアターゲットである若いファミリー層の滞在時間を延ばし、リピート率を高めるための戦略的スペースになっている。そんなキッズスペースの企画から製造、施工までを一貫して行っているのが髙田紙器株式会社だ。

ウレタン事業部 部長 髙田 貴弘氏
顧客との打ち合わせでは、実現したいイメージを聞いたうえで、作りたいもの、サイズ、形状、素材などを決めていく。工場では、身長よりも高いウレタンの原反を設計図面通りのサイズに裁断し、カバーとなる生地をウレタンにかぶせて完成。キッズスペースを見ただけではわからないが、「例えば、滑り台などを置くと高いスペースから落ちることも考えられるので、落ちそうなエリアには衝撃を吸収できる厚みと硬さのウレタンを使用しています。」と髙田氏。また「円形の囲いをつくるにはいくつものパーツを組み合わせて丸くしていくのですが、生地の厚さも含めて細かくサイズを計算して初めてぴったりとした円形ができるんです」と、実際につくるうえでの工夫や苦労を挙げればきりがないが、子どもたちが笑顔で遊ぶ姿が何よりの活力源になっている。

社名に「紙器」とあるように、1988年の創業時はダンボールメーカーとしてスタートした。「自分たちで好きなものづくりを行うメーカー」を指向するうち、ある社員から、緩衝材として仕入れていたウレタンを使ったものづくりができないか、というアイデアが出された。手始めにカーディーラーのキッズコーナー向けにウレタンマットを納入したところ、他の顧客からも引き合いが増え、キッズコーナー制作のノウハウを蓄えていくことになる。

納入事例をホームページで紹介したところ、キッズコーナー以外にもさまざまな案件が舞い込むようになった。例えば、体操教室向けに納入したウレタン製の跳び箱。「怖くて飛べない、ぶつかると痛い、といった恐怖心を取り除くことで、子どもたちがのびのびとチャレンジできるようになったという声を聞いています」。

近年はインドアゴルフ施設向けの跳ね返り防止マットや、ボルダリング施設向けのウレタンマットも手掛けるなど、キッズコーナーで培ったノウハウはさまざまな遊びやスポーツの場へと広がっている。「同業者は特定の施設向けに絞り込んでものづくりをしているところが多いのですが、うちはどんな案件が舞い込んでも、断らずに挑戦するという姿勢でここまで幅広い案件を手掛けるまでになりました」。現在は、インドアゴルフ施設であればスクリーン、人工芝、防球ネットまでといったように空間全体の施工を任されることも増えてきているという。

年々暑さが増す中で、天候に左右されずに遊べる屋内施設のニーズは着実に高まっている。「今後はウレタンマットだけでなく、壁紙や照明なども組み合わせ、空間全体を提案するなど、新しい可能性を探索している」という髙田氏。建設業許可も取得し、企画から製造、施工までを担う総合空間提案企業への進化をめざしている。

(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)









