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カッターのパイオニアとしてより広く、より深く

2021.04.05


折れ線に沿ってポキポキと折ることで、1枚の刃で何度も新しい切れ味を再現できるようにと65年前に開発された世界初の「折る刃」式カッターナイフ。

その着想もさることながら、薄い1枚の刃を頑丈にしながらも折れる弱さも持たせる矛盾をまとめ製品化した創業者・岡田良男氏の開発にかけた執念はいかばかりだったか。
試行錯誤の末に決めた刃先の角度、刃の幅や長さは後に世界標準となった。

現在、海外の売上げは国内を上回っており「折る刃」から派生した大阪発の「OLFA」ブランドは世界にすっかり浸透している。

 

1956年に発明された、世界初の折る刃式カッターナイフ。

 
一般向けの文房具としてのカッターナイフ、プロユース向けの工具としてのカッターナイフの両面からユーザー層を広げてきた結果、商品数は今や約200点に及ぶ。

商品開発ではスケッチや簡易的な図面を基に試作モデルを作成し、実際に使い勝手や握り心地などを確かめながら、その都度修正を加えた後、設計図に落とし込みつくり込んでいく。

そのようにして創業者の開発魂は今もしっかりと受け継がれ、新たな「OLFA」ファンを増やしている。

 

グッドデザイン賞を受賞した主力商品である「ハイパーシリーズ」。

 
2018年に発売された「キッター」は子ども向けのカッターだ。

カッターの持ち込みを禁止する学校が多く、以前に比べ子どもたちがカッターに触れる機会はすっかり減っている。

「子どもたちにカッターナイフを使う楽しみを知ってもらい創作意欲も刺激したい」という社員の問題意識をもとに商品化された。

刃は樹脂で覆い、切り口の先端部だけをわずかに出す構造とし安全性を確保。切って、折って、片付けるという一連の流れを学べるよう、卵型の刃折り器も併せて開発した。

「プラスチックを刃に溶着させながらも刃をいかに簡単に折れるようにするかが難しかった」と岡本氏。創業者の苦労を彷彿とさせるようだ。

 

刃を覆うことで怪我のリスクを最小限に抑えた子ども向けカッターナイフ「キッター」。

 
安全に荷物を開梱するために開発されたカッターはその名も「カイコーン」。

安全性への意識が高い北米市場でのニーズをふまえて開発された商品で、刃の部分に指が触れにくい構造にしたほか、持ち手の樹脂にはガラス成分を混ぜ込み頑丈にした。

ふたを開けてみれば日本だけでも40万本を売るヒット商品に育った。

 

刃に指が触れにくい設計の開梱用カッターナイフ「カイコーン」。

 
この4月に発売するアウトドアブランド「OLFA WORKS」の第4弾商品は、切る・削るはもちろん、上から叩いて薪割り用としても使えるナイフだ。

厚さ3.2ミリの刃を持ち手の末端まで通し、刃先はハマグリ形状に研磨することで切れ味を長持ちさせる。

 

アウトドアブランド「OLFA WORKS」第4弾商品のフルタングナイフ「サンガ」。

 
「オルファならではのカッターナイフの技術を生かし、さまざまな使用シーンを提案することで、新しいマーケットを掘り起こしていきたい」と岡本氏。

オルファの活躍の場はまだまだ広がっていきそうだ。

 

営業企画本部 営業企画グループ シニアマネージャー 岡本和宏氏

 
(取材・文/山口裕史)

オルファ株式会社

営業企画本部 営業企画グループ シニアマネージャー

岡本 和宏氏

https://www.olfa.co.jp

事業内容/刃物手道具の製造販売