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オタクカルチャーの象徴、海洋堂が世界におくる独自フィギュアと模型の魅力

2023.02.08

株式会社海洋堂は、「フィギュアや模型」を愛する人々の間では、知らない人はいない国内屈指のパイオニア企業だ。

天才造形師たちが集い、制作するフィギュアや模型は、精密さと多様な表現力で醸し出される独自の魅力で、日本のみならず、世界中のコアなファンから熱狂的な支持を受けている。手掛ける領域はアニメや漫画の有名キャラクター、動物や恐竜、ミリタリー、仏像など幅広い。

同社には原型師・造形師が数多く所属。

そんな海洋堂の歴史は、挑戦と進化の連続だ。模型小売店からスタートした当初から「創るたのしみをすべての人に」をキャッチフレーズに掲げ、受動的ではなく “発信者”として活動してきた。

「コンセプトメーカーとして、常に最先端を切り拓く道を選んできました」と語るのは、取締役専務の宮脇修一氏。ツワモノ揃いの造形師やクリエイターたちを強力なリーダーシップで束ねる豪快なキャラクターとして知られている。また、“宮脇センム”として吉本興業株式会社に所属し、ホビーなどの魅力を伝える文化人としても活動する名物経営者だ。

取締役専務 宮脇 修一氏

転機のひとつは、好事家たちが欲しい物を自らの手で複製する「ガレージキット」。1982年に「海底軍艦」を発売後、版権を取得した有名キャラクターなどをリリースし、ガレージキットメーカーへ転身する。その後、フルタ製菓の食玩「チョコエッグ」や、アクションフィギュアなどを手掛け、不動の存在に。

一見すると、順風満帆な経営に見える同社だが「大ヒットの裏に、数え切れないほどの失敗がある」と宮脇氏。実際、大きな負債を抱えた時代もあったが、チャレンジと行動力で全力疾走する経営方針で乗り切った。2020年、同社の持つ有形無形の資産に価値を見出したファンドからの出資を受け、資本業務提携へ。ただし、「宮脇氏が取り仕切る」ことが条件で、権限や立場は不変だ。

昨年12月に「海洋堂フィギュアミュージアム ミライザ大阪城」が誕生。

そんな同社が満を持して立ち上げた新ブランドが、『ARTPLA(アートプラ)』。フィギュアで培ってきたノウハウや知見を活かし、これまで手掛けてきた領域の作品や「太陽の塔」などをプラスチック素材の“プラモケイ”で展開する。

ディテールにこだわり抜き、高品質を追求したプラスチックモデルキット「ARTPLA」四天王像。

提案したのは、クリエイターの塩入翼氏。ブランド名になった『ARTPLA』は、“プラスチックの造形物を芸術品レベルに昇華させる”という、同社の哲学を言語化した社内用語。1970年代に既に存在し、以降キーとなる概念として根付いている。

「長年、海洋堂が培ってきた概念を具現化するにふさわしい、ブランドに育てていきたい」と意気込む塩入氏。そんな塩入氏を「私と同じ生粋のオタクで、突き詰めるタイプ」と評し、「細部に至るまで高いクオリティを確立したのでOKを出した」と語る宮脇氏。これからも、尖った独自性でファンたちの高い評価と応援を受けながら、海洋堂は我が道をひた走る。

右から取締役専務 宮脇 修一氏、マーチャンダイジング部デザイン課クリエイティブマネージャー 塩入 翼氏

(取材・文/仲西俊光 写真/福永浩二)

株式会社海洋堂

取締役専務 宮脇 修一氏
マーチャンダイジング部デザイン課クリエイティブマネージャー 塩入 翼氏

https://kaiyodo.co.jp

事業内容/フィギュアや模型の開発・制作・販売