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世界80カ国で愛用されるアルスコーポレーションがつくる切れ味抜群の刃物道具

2023.02.03

創業140余年。古来、堺の地で磨かれてきた刃物の伝統技術をもとに、切れ味を追求した道具づくりに取り組むアルスコーポレーション株式会社。プロ仕様の剪定バサミやノコギリ、文具、料理用のハサミまで、製品ラインナップは多種多様だ。

高品質な鋼材を使用するのはもちろん、職人の技を再現した焼入れや研磨、時代のニーズに合ったデザインにこだわりながら、機械生産による量産・品質の安定化・コストダウンに成功。「他社にない商品をつくる」をモットーに、自社で製品開発できる体制を強みとしている。

同社を代表する商品の高枝バサミ。

「鋼製の刃部とグリップの素材を変え、軽量化した剪定バサミ。切れ味を保ちながら切り口をきれいに切断できるアサリわけのないノコギリや、テレビショッピングで人気を博した高枝バサミを最初に開発したのは当社です」と瀧川氏は胸を張る。

いま、同社が最も大事にしているのはユーザーの声。ユーザーのもとに足を運んで話を聞くだけではなく、社内につくった農園で自社製品の使い勝手を確かめる。それは、自分たちが消費者になることで、他社と差別化する革新的な商品を提案するためだ。

社内につくられた農園では多種多様な植物を育てている。

製品のよさをわかってもらうためには実際に使用しているユーザーの声を紹介することが必要と、SNSを使った働きかけにも積極的に取り組む。このような能動的な動きを通して、「お客様の課題を解決するサービスや価値を提供する」という視点で、ものづくりに取り組む土壌が全社に育まれてきたという。

海外販路の開拓をスタートしたのは先代のとき。台湾とイギリスからはじめた営業活動が実を結ぶまでに年月はかかったが、いまや80カ国の販売先を持ち、アルス製品は世界各地で評価されている。

さまざまな形や大きさを揃えている剪定バサミ。

農業用剪定バサミはアジアNo.1のシェアを獲得。また、押しノコギリが一般的だった欧米に日本の挽きノコギリを広め、摘果バサミはワイン産地のぶどう収穫で好評を得る等、海外での売上げは堅調だ。「海外販路の拡大余地はまだあります。国内は一般ユーザーにもアルスブランドを浸透させて売上げを伸ばしたいですね」と抱負を語る瀧川氏。

近年では、農林水産省が推進するスマート農業に着手する大手企業と提携し、自動収穫ロボットに使う専用刃の開発を担当している。「世の中の少子高齢化や効率重視に対応し、道具の軽量化、省力化、電動化は進んでいます。アルスは、長年培ってきた発想力と技術力でプロの切れ味を追求し、お客さまの課題解決に応えます」。

堺から世界へ。職人魂が息づく刃物づくりの挑戦はこれからも続く。

専務取締役 瀧川 敬一氏

(取材・文/花谷知子)

アルスコーポレーション株式会社

専務取締役

瀧川 敬一氏

https://www.ars-edge.co.jp

事業内容/プロ用刃物・一般流通用刃物・業務用機械刃物の企画開発・製造、刃物のメンテナンスサービス