受け身から脱し、紙管を「メジャーな黒子」へ

紙管とは紙製の筒のこと。私たちの身近なものとしては、家庭用ラップの巻き芯がまず思い浮かぶ。山田紙管株式会社では、機械の突起を覆う直径10mmほどの保護筒から、銅線を巻き付ける直径300mmの巻き芯まで、さまざまなサイズに対応。これら産業用巻き芯が売上げの8割を占める。
残りはパッケージ(容器)用途だ。代表的なものでは、卒業証書を入れる筒やお酒の瓶を入れる容器、化粧品容器などがある。ユニークな用途としては、建築用の成形型枠や避難所の間仕切り用のフレームなどにも使われている。「まだまだ私たちが思いつかない用途がたくさんあるはず」と山田氏は言う。

紙管を活用したパッケージの数々。用途に応じた多様な加工に対応する。
創業は1910年にまでさかのぼる。マッチ箱の製造からスタートし、戦後に包帯やテープの巻き芯製造へ転換。セロハンテープメーカーとの取引が始まったのを機に、紙管製造を主力事業へと成長させた。
強みは高度な製造技術にある。原反紙を小幅にカットして斜めに巻き上げる芯づくりでは、巻きずれをなくすことで、そこに巻くフィルムの凹凸を防ぐ。容器づくりでは、端部を熱で内側に曲げるカール加工、メンコと呼ばれるふた付け、外装貼りまでを一貫して手掛けることで「同業者ができない仕事も回ってくる」という。

長年培ってきた技術を生かし、さまざまな用途に応じた紙管をつくり上げる。
5年前に入社した山田氏は、新たな用途を求めて展示会への出展など、積極的に外へ打って出ている。そのなかで、打ち上げ花火の火薬を入れる花火玉に採用されたほか、近年の脱プラスチックの流れを受け化粧品容器などでの採用も増えているという。
山田氏が今、新たな仕掛けとして取り組んでいるのが教育分野での活用だ。イベントなどで紙筒や紙材などの端材を使ったモノづくりの遊び場を提供し、好評を博している。その真の狙いは、イベントを実施するオフィス空間メーカーやホテルなどとのつながりを築くことだ。「実際にホテルのアメニティを入れる容器などへの採用も進んでいます」とのこと。紙筒や容器としての紙管の用途を広げる有効な攻め手となっている。

紙管や端材を使った子ども向けのモノづくりイベント。
紙管の新たな用途や顧客との接点を広げるきっかけにもなっている。
今後は自社Webサイトの全面刷新を進め、オンラインでの受注拡大を狙うとともに、自社のビジョンや強みを明確に伝えるブランディングを推進していく。売上げを伸ばした先には「従業員の給与と労働環境の向上」を最優先に掲げながら、受け身ではなく能動的に提案する「メジャーな黒子」をめざす。116年の間に培った技術をもとに新たな領域への拡大をめざし、挑戦は続く。

ゼネラルマネージャー 山田 桂司氏
(取材・文/山口裕史)









