海中での快適さを追求 ダイビングを支えるスーツづくり

ダイビングで海に潜ると、地上では感じられない浮遊感の中で、聞こえる音や光の届き方も日常とは全く違う。海中という非日常を快適に楽しむためには、身にまとうスーツの性能は重要だ。ダイビングスーツを製造・販売するワールドダイブ株式会社は、そんな「安心の技術」を50年にわたり磨いてきた。「別世界に没入できるダイビングをすると、すごくリフレッシュできて明日も頑張ろうと活力が湧いてきます。人生を豊かにするダイビングを、より快適に楽しめるスーツを追求しています」と代表の高橋氏。

代表取締役社長 高橋 信弘氏
創業は1976年。ダイビング関連会社で営業や製造に携わった創業者(現会長)の高田氏が独立。仕事が入らない時は自らダイバーとして潜水作業に出ながら、OEMとして依頼されたスーツ製造の仕事を丁寧に進めていった。1987年には、受注生産から自社企画・販売へ転換。自社カタログをつくり、「ワールドダイブ」というブランドとして発信する体制へと舵を切った。当時はダイビングショップを中心に販路を広げた。

ドライ・ウエットどちらのスーツも色・柄を自由に選べる。
また、当時日本ではまだ珍しかったドライスーツの自社開発に注力。ドライスーツとしては当たり前の水が入らないスーツにするために、細部に渡りさまざまな工夫を施し高い評価を得てきた。
製造は国内自社工場で一貫生産。国内市場で培ってきたオーダーメイドの強みを活かし、機能だけでなくデザイン面でも進化を続けてきた。身体が不自由な人のために開発したロングファスナー仕様のスーツが、着脱のしやすさからクチコミで広がり、デザイン面でも多様なファスナーカラーを展開し、今では主力シリーズに育っている。「お客さまがスーツを選ぶときも、届いたときも、着て潜るときも、ずっと楽しくあってほしい」と高橋氏は語る。


熟練の技術者が細部まで神経を行き届かせて、丈夫に美しく仕上げる。
ダイビングは比較的変動が緩やかなレジャー市場だというが、大波に翻弄されたこともある。「阪神・淡路大震災ではゴム素材の仕入れ先の多くが被災し、2011年の東日本大震災では需要が急激に落ち込みました。さらに、2016年の熊本地震では熊本工場が被災しましたが、それでも被災を免れた従業員はもちろん、被災した人とも協力し合い、多くのお客さまにも支えていただき、なんとか乗り越えてきました」。
コロナ禍に密を避けやすいレジャーとして需要が高まった一方、その後はレジャーの選択肢が広がり需要が落ち込む時期もあったが、現在は徐々に回復しているという。「少子化や可処分所得の低下でダイビング人口減少の懸念はありますが、当社のお客さまでは40~60代から始める人が増えていますし、アクティブに動く学生や若い層の人たちにも支えられています」と前を向く。

社員にはプライベートダイビング手当を用意。写真を提出すればOK。(社員撮影)
今後は水中での快適さにとどまらず、あらゆる環境で快適に過ごすことをめざし、さまざまな分野で活躍できる製品を構想中だ。「ほぼ手作りでロボットではできないからこそ、社員が元気で幸せに働いてくれていることが今につながっています。まだ十分なお返しはできていませんが、利益は還元し、みんなで次の50年をつくっていきたい」。これまで培ってきた技術を生かし、快適な体験を支えるものづくりへの挑戦は続く。

(取材・文/三枝ゆり 写真/福永浩二)









