OMOSHIROIをかたちに、模型製作が活きるメモ×立体アート
トータルデザイン会社であるトライアードの強みは、建築模型製作で培われた立体造形の精巧かつ繊細な表現力。
「模型製作に必要とされる知識や技術、デザイン力を、より多くの方々に近くで見ていただきたい」。そんな熱い想いと高い企画力が融合したオリジナル商品が、いま評判をよんでいる。
「OMOSHIROI BLOCK」は一見単なるボックスメモだが、使用するたびに見事な立体アートが現れてくるのが特徴だ。一枚一枚に繊細な細工が施された上質紙が重なっており、使うたびにワクワクするだけでなく、使用後の完成品はオブジェとして鑑賞したり飾ることができる。
当初は本をイメージした形の試作が行われていたが、より実用的な用途を求めボックスメモとして商品化することになったという。
「自分たちが得意とする緻密な表現力と、メモの機能を結びつけた工夫が転機になりました」と語る堀口氏。「memory×moment×彫刻」をコンセプトに掲げ、まずは日本らしい構造美をもつ清水寺を題材に選んだ。
現在「OMOSHIROI BLOCK」は、3Dの建物が現れる「SHAPE」、国内外の都市の風景が見える「SCENERY」、錦鯉や桜など日本を連想するものが登場する「SCENE」の3シリーズを展開。新たに、カレンダーやメッセージカードなども加わり、価格設定は約500円〜1万円と幅広い。
商品は、自社オンラインストアの他、日本では東急ハンズ・ロフト・伊東屋など、海外では台湾・香港・ドバイなどの商業施設で販売されている。
一方で活発なのは、国内外の自治体、企業、教育機関などとコラボして、カスタマイズ商品を生産する動きだ。一例として挙げられるのは、大阪城・海遊館・スターバックスジャパン・ドラえもんなどである。
実は「OMOSHIROI BLOCK」は、2017年のリリース発表時にSNSで話題になり、瞬く間に世界中に広がって入手困難になったことがある。
ウェブサイトへのアクセスが集中してサーバーがダウンし、想定外の受注に社内の体制が追いつかなかった。「量産するために海外への生産委託を考えましたが、MADE IN JAPANにこだわり、自分たちの手で高品質なものをつくりたいと、思いとどまったんです」。
今となってはよかったと振り返る堀口氏。現在は、商品企画、開発、試作品製作、商品生産、パッケージデザイン、販促ツール作成、オンライン販売まで一貫して自社で行っている。
スローガンは「OMOSHIROIをかたちに」。
「『面白い』には、顔に光が差し込み、目の前がぱっと明るくなるという語源があります。デザインで未来を明るく豊かなものにしたい」。
トライアードは、世界中から届く問い合わせに丁寧に向き合いながら、ものづくりの醍醐味を社員一丸となって味わっている。
(取材・文/花谷知子 写真/福永浩二)
株式会社トライアード
代表取締役
堀口 英人氏
事業内容/オリジナルプロダクトをはじめ各種デザイン、建築模型の設計・制作
オンラインストア:https://www.omoshiroi-onlinestore.com/ja/omoshiroi_block