産経関西/産創館広場

五感信じて集めた地域産品で夢実現

2015.01.26

開業から2年を迎えた、大阪・南船場にあるセレクトショップ「みちのたより」(運営:株式会社みちのたより)。創業者の溝口美緒氏は服飾関係の専門学校を卒業した後は東京でデザイン関係の仕事がしたいと考え、母親に「東京で就職が決まった」と嘘をつき、埼玉県のデパートで派遣の販売員として売り場に立ちながら、就職活動を続けていた。数十社もの衣料関連会社に応募し続けるも内定が出ない。そんな中、突然上京してきた母親に嘘がばれて実家のある大阪に戻ることになった。

大好きなファッションの仕事に就けずもんもんとした毎日を送る中、ドライブ中に偶然立ち寄ったのが京都府にある道の駅。店内に並ぶ見慣れない商品の数々の中から和紙を使ったパッケージの瓶詰のジャムに目を奪われた。その場で購入してすぐに味見した。「おいしい。こんなにかわいくておいしいのに誰も知らないなんてもったいない。全国の道の駅にあるおいしくてかわいいものを仕入れたらおもしろそう」。そんな偶然の出合いが、起業家として生きることにしたスタートラインだった。

その後、車中泊を繰り返しながら全国にある道の駅を一人で運転して回り、自分が良いと思った商品は、商品のラベルに掲載されている連絡先を頼りに、生産者にその場で電話する。アポイントをとり、直接会って、その商品へのこだわりや熱い思いを感じたものだけを販売するネットショップ、実店舗を立ち上げたのが2012年。開業当時は食品が中心だったが、現在は、雑貨や陶器、バスグッズまで、地域で生まれた希少性の高い商品を取り扱うセレクトショップへと変貌している。

道の駅を巡るうち、各地のまちおこしを応援したいとの思いが芽生えた。いいものを作ろう、それをたくさんの人を知ってもらおうと一生懸命に努力する人たちの姿を見てきたからだ。現在18府県の道の駅や、そこに関わる、地域の食品メーカーとコラボレーションする新たな商品開発も始まっている。そして、溝口氏の悲願だった「デザインの仕事」は地域産品の商品開発という形で実現した。

(大阪産業創造館 プランナー 井本達也)

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▲静岡県のメーカーと溝口さん(中央)

 

株式会社みちのたより

http://michinotayori.jp/