”飛び切り”細かい金網で顧客の課題を解決
美しい印字を実現するプリンターヘッド、化粧品の製造装置の内部に使われるフィルターなど、私たちの生活にはさまざまな粉体のふるい分けに金網が利用されている。「ふるい」や「分級」という金網のフィルターとしての役目にとことんこだわり、あらゆる産業分野の目的に応じたさまざまな金網を開発、迅速に供給することを使命としているのが、1938年に創業した真鍋工業株式会社(大阪市東成区)だ。
創業当初は、家庭用に真鍮(しんちゅう)や亜鉛引鉄線を用いたクリンプ金網や亀甲金網を製造していた。50年に国産第1号となるステンレス金網を製作し、翌年には工業用の金網製造へと方向転換し、その後も純国産第1号ロケットの部品に使用される金網や、「マグネステン」という磁性を有する高耐蝕性金網を開発。さらに、約4マイクロメートル(1000分の4ミリメートル)までの製織の金網や、電気化学的な方法で製作される極めて精密な網「エレクトロフォームドスクリーン」の2マイクロメートルの開き目など、極めて先端的な技術を開発している。
3代目社長の松尾恭成氏は「お客さまが抱えている課題の解決を通じて、われわれも技術を育み、進歩の糧をも得させてもらっている」と語る。仕事でかかわる全ての人との心の通い合いこそ大切と考え、感謝・感動・感性という“三感”を何よりも重視することを企業理念に掲げている。
精密に作り上げた金網が顧客の現場で効果を発揮するためには、さまざまな立場の人の連係が不可欠だ。素材の仕入れ先、製造部門、協力工場、営業部門など、担当者同士の意思疎通がスムーズであればあるほど、早く質の高い仕事ができるのだ。
こうした取り組みを実現させる方策の一つとして、IT(情報技術)の活用を進めている。書類などの手書きで生じる繰り返し作業などを効率化し、顧客対応に使う時間を増やす。また、全社で顧客情報や営業情報を共有することで、顧客からの問い合わせに社内の誰もが対応できるようにすることが狙いだ。
100年企業をめざすという松尾社長は「得意先の業界の最新テーマを知り、お客さまが真に求める“とびきり”の金網をつくっていきたい」と抱負を語る。
(大阪産業創造館コンサルタント 服部繁一)
▲顧客が真に求める金網づくりをめざす真鍋工業株式会社の松尾社長(左)とスタッフ
真鍋工業株式会社