産経関西/産創館広場

医療従事者のコミュニケーション応援

2012.09.24

今後ますます進む高齢化社会―。人々が健康で明るく楽しく暮らしていくためには、健康についての正しい情報を身につけることが必要となる。

 株式会社イーアドバンス(大阪市北区)は、人々が健康で幸せに暮らしていくためのノウハウやコンテンツを提供するという理念のもと設立された医療系の広告代理店である。

 主な事業は、製薬会社や医師向けなどの営業のための販売促進ツールや医師向けの教育コンテンツの作成。取引先には大手製薬会社が並んでおり、同社の「難しいことを楽しく分かりやすく」伝える独自ノウハウへの信頼の表れといえ、その源泉は高いコミュニケーションスキルにある。

イーアドバンス

 社長の中森利一氏は管理栄養士・衛生検査技師の資格を持ち、衛生検査所で検査技師として経験を積んだ後、医療系広告代理店に営業職として転職、異なる職種だったこともあり当初はなかなか成果が上がらなかった。しかし、コミュニケーションスキルのレベルアップを図ろうと一念発起。積極的に書籍を読み、セミナーに参加するうちに、徐々に結果が出せるように。当時、東京で単身赴任をしていたが、実母の介護のため大阪へ戻り、以前から考えていた起業に至った。

 今年4月から医師への過剰な接待交際費を抑制するために製薬会社が自主規制を開始し、代わりにiPadを営業に配布する企業が増えるという機運が高まった。同社では製薬メーカー向けのiPad営業販促ツールや、営業の合理化と管理のサポートプログラムの提供を始めた。「これまでに培ったノウハウは他の業種でも活用できる」と営業活動を行った結果、他業種からも引き合いがあり、今後は医療業界以外にも進出していこうと戦略を練っている。

 また、中森氏自身の介護体験を通じて、医療従事者は労働時間が不規則であるうえに、高齢化と共に患者数は増大していくため精神的に疲弊していく人たちが一層多くなるということに危惧を抱いた。それを解消するべく、新規事業として9月から医療従事者の人材サポートサービスを始めた。

 同社では、医療現場で働く人たちが仕事に専念でき、幸せな人生が送れるよう、医療従事者に交流の場を提供した。さらに職場環境改善委員会を提案、自分の仕事に誇りをもって働けるような職場との橋渡しを目指して特定派遣・紹介のサービスに着手した。まずは看護師を対象とし、徐々に理学療法士などに広げていく予定で、医療分野のコミュニケーションを軸として、業容の拡大を図ろうと考えている。

(大阪産業創造館 経営相談室 東純子)

株式会社イーアドバンス

http://eadvance.jp/