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FCで得た教訓を生かし独立 人を育てるラーメン店

2025.12.05

学生時代に飲食店でアルバイトを経験し、いつかは自分でも飲食店を開きたいと思っていたという樋口氏。専門学校を卒業後15年間勤めた会社を退職し、大手ラーメンチェーンのフランチャイズ(FC)に加盟して独立する道を選んだ。「どこかの店で修業することも考えましたが、独立までの時間を短縮するには、ノウハウを効率よく学べるFCがよいだろうと思いました」と振り返る。

男子学生を中心に幅広い客層を集めている「豚麺山脈」。

最初に手がけたのは、本部が運営していた既存店舗を引き継ぐ形で任された店舗だった。引き受けた当時は、従業員の士気が低く、売上げも芳しくない状態だった。最初の半年間は休むことなく睡眠を削って店舗の立て直しに専念。店のすみずみまで清掃を徹底するところから始め、私語が多かった学生アルバイトには「ここはサークルではない」と緩んでいた意識を引き締めた。ほどなくして、集客活動をせずとも口コミだけで客足が伸びていった。「今から思えば、あえて厳しい店を任されたことで、さまざまな経験を積むことができ、自信がつきました」と語る。その後は、自身が育てた従業員に店舗を任せて4店舗にまで増やした。

代表取締役 樋口 克則氏

当初はFC契約による店舗展開を中心に進めていたが、次第に「自分の店を持ちたい」と思うようになる。「いろんなラーメン店を食べ歩き、自分でも試作していくうちに、独自のメニューを増やしたい、新しい売り方にも挑戦したいという気持ちが強くなりました」と樋口氏。最終的にFC契約下で運営していた4店舗をすべて手放し、2022年には堺市内に前方後円墳の形を模した餃子専門店を開業。そして2025年3月にはラーメン店「豚麺山脈」のオープンにこぎつけた。

「豚麺山脈」店内

ラーメンは豚骨ベースのいわゆる“二郎系”。周囲に高校や大学が多いことから、男子学生をターゲットに据え、にんにく、野菜、油を山盛りまで無料にする等、メニュー構成を設計した。

こってり、たっぷりの二郎系ラーメン。

スタッフに伝えているのは「お客さまに笑顔で帰ってもらうこと」だ。こまごまとしたことは言わず「笑顔で帰ってもらうために、自分の持ち場で何ができるのかを自身で考えてほしい」と常に語りかけているという。樋口氏自身も、カウンター越しに聞こえてくる顧客の声を参考にしながら、スープの味に微調整を加えている。振り返れば、会社員時代もグループリーダーを務め、メンバーの一人ひとりが成長していく姿を見るのが楽しかったという。「これからも自分自身が多くの店舗を持つよりも、スタッフが独立して店舗を持つことを支援したい」と話す樋口氏。これまでのすべての経験を糧に、人を育てていくことでラーメン業界を元気づけていこうとしている。

「お客さまに笑顔で帰ってもらうこと」を心掛けている樋口氏。

(取材・文/山口裕史 写真/三原李恵)
※掲載写真は、編集部にて撮影したもの以外に、取材先企業からご提供いただいた写真も含まれています。

株式会社遥翔

代表取締役

樋口 克則氏

https://tsumuha.com/company

事業内容/ラーメン、餃子専門店の運営