必読!「クラファン」の押さえるべきポイント
プラットフォームを介して商品、サービスの特徴や思いを伝え、賛同者から資金を調達するクラウドファンディング(以下クラファン)。資金調達の一手段としてすっかり定着した感がありますが、本当にお金は集まるの?もっと賢い活用法はないの?など素朴な疑問を、数多くのクラファン支援・サポート実績を持ち、大阪産業創造館 経営相談室 経営サポーターも務める酒匂氏にぶつけてみました!
Q1.近年の傾向を教えて!
産創館に相談に来られる企業では「Makuake」「CAMPFIRE」「READYFOR」に代表される、いわゆる購入型のプラットフォームを活用するケースが大半です。ポータブル電源やBluetoothイヤホンなどデジタルガジェット系では数億円を集めるケースも珍しくありませんが、国内の平均調達額は約200万円といわれています。体感としての中央値は約70万円ぐらいではないでしょうか。
Q2.産創館への相談事例で多いのは?
これまでBtoBでものづくりを続けてきたけども、BtoCに挑戦してみたいのでクラファンを使いたいという相談をよく受けます。帽子やシャツなどの衣料品のほか食品、化粧品が多いですね。1人当たり支援単価は1万円ほどで70人くらいから支援されているイメージです。
Q3.資金を集めやすい商品、サービスは?
飲食店のオープンなど食に関するプロジェクトは支援が集まりやすい印象です。対象者が幅広く、わかりやすい商品、サービスが強いです。コロナ禍の時期はアウトドアグッズが好調でした。時流をとらえることも大切です。
Q4.逆に集めにくい商品、サービスは?
アプリのような無形で想像しにくいものは難しいですね。高齢者向け、福祉系のサービスなどリターンの利用者が限られるケースもハードルが高いです。あとは医療や環境、衛生に関連する機器や商品。これが治るとか、きれいになるといわれても、科学的根拠が示せないものは運営自体から断わられる可能性が高いですね。
Q5.成功する秘訣は?
毎日大量のクラファン情報が公開されており、すぐに埋もれてしまいます。その中で注目を集めるにはファンを作ることが大切。プラットフォームの中にあるSNS機能を活用して、こまめに活動報告をするなど、取り組んでいる内容を発信することが大切です。公開しっぱなしにならないよう担当者をしっかりつけることを忘れずに。
Q6.クラファンって正直儲かるの?
100万円集まったとして、プラットフォーム会社へ20%前後の手数料を差し引いて、担当するスタッフの人件費、そこにコンサル会社への委託料などが加われば、残るのは数十万円。開発費用を考えると赤字です。クラファン単体で利益を出すという発想は難しく、クラファンがもたらすメリット全体で効果を測るべきです。
Q7.波及効果として期待できることは?
話題性やストーリー性があるものは、ニュースとして取り上げられることも多く、結果的に商品の認知度を上げることができます。新商品のテストマーケティングを目的に活用される会社もあれば、商品を変えながら継続的に実施し、コアなファンを増やしている会社もあります。企業が積極的にクラファンに取り組むと、商品やサービス戦略を考えることになるので、その前向きな行動が評価されて結果的に金融機関から資金調達を得やすくなることも。
Q8.上手な活用法があれば!
おすすめしているのは新入社員のOJTとして利用する方法です。クラファンには、商品の企画から、魅力を伝えるマーケティング、商品を届けるカスタマーサービス、最終的な収支計算まで、自社や商品を理解し、経営に触れる良い機会になります。
株式会社ユウキノイン 代表取締役 酒匂 雄二氏
大阪・関西を中心に中小企業、ECサイトのSEO、検索対策、WEB集客、SNS活用、コンテンツマーケティング、クラウドファンディング活用を支援している。
(取材・文/山口裕史)