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経営者必見!おさえておきたい資金調達

2024.10.07

独立するための開業資金や運転資金、事業拡大など資金調達の状況はさまざま。とはいえ、どんな種類の資金調達が自社に適しているのかがわからず、不安に感じている方も多いはず。
そこで今回は資金調達の方法や種類を、大阪産業創造館 シニアコンサルタント 岡島が詳しく解説します!

♦ 融 資 ♦

融資とは、一定期間内に利息と元本を返済する義務のある資金調達のこと。よく聞く言葉でいうところの「借金する」ということです。担保や保証人が必要なこともありますが、無担保無保証の融資制度もあります。

融資の返済期間は、運転資金か設備資金かにもよりますが、5年から15年ほどで設定される方が多く、審査期間は申請から着金まで1か月から2か月くらいかかることもあります。融資の選択肢は大きく2つあります。
 ①公的な機関(創業者から一定規模の中小企業まで、幅広く対応)
 ②民間の金融機関(都銀、地銀、信用金庫など、地域や事業規模に応じて取引)

一般的に起業したばかりの事業者などは、信用や実績が少なく民間の金融機関からの調達は難しいことが多いです。しかし、公的機関では、事業経験や事業計画書、自己資金の準備状況などで審査を行うため、民間の金融機関では調達が難しかった事業者でも、資金調達することが可能となり、信用や実績を積み重ねることができます。

●公的な機関
【 日本政策金融公庫 】
直接審査して融資を行う
【 信用保証協会(保証付融資) 】
民間の金融機関が安心して融資ができるよう、公的な保証人になる
※保証付融資の申請の流れとして、窓口になるのは民間の金融機関となり、そこから信用保証協会に保証の申し込みを行います。

●民間の金融機関
保証付融資とは違い、民間の金融機関が独自で責任をもって融資するのがプロパー融資です。
[ メリット ]
・信用保証協会に支払う保証料や限度額が無くなる
[ デメリット ]
・保証付融資よりも審査が厳しい
・返済期間が短くなる場合がある

審査期間は、日本政策金融公庫単独だと1か月くらいですが、信用保証協会を利用すると、申請者・民間金融機関・信用保証協会の3者の連携になるので、場合によっては2か月近くかかることもあります。但し、保証付融資を利用することで、窓口となる民間の金融機関との返済実績が積み重なり、将来的にプロパー融資を希望している方にとって、信頼関係の構築が可能になります。

また、一定規模を超える融資による調達をするときは、1機関のみではなく、2機関から調達する協調融資という方法もあります。早い段階で、複数の金融機関と取引を行い、返済実績を積み重ねることで信頼関係を構築し、資金調達の幅を拡げておくこともできますよ。

♦ 出 資 ♦

「出資」は、株式などと引き換えに資金を調達することができて、融資のように利息や返済の義務もなく、担保や保証人も必要ありません。貸借対照表で融資は“負債”に計上されますが、出資は“純資産”に計上されますので、長期安全性を見る指標である「自己資本比率」が改善します。

返済の義務のない資金ですが、一般的に「出資者は出資した金額以上の見返りを期待」しています。例えば、取得時よりも株価(企業価値)が上昇することによる売却益への期待や、株式を一定割合保有することで経営への参画、利益が出た時の配当金などを期待していることもあります。出資者によって、期待する見返りは違ってきますので、出資者が求める見返りを把握して、相応のメリットを提案する必要があります。

[ メリット ]
・返済の義務がない
・利息、担保、保証人が必要ない
・ビジネスモデルによっては、大きな資金調達ができる
・出資者からの経営的な支援を受けることができる
・財務状況が安定する

[ デメリット ]
・株式の比率によっては、経営の自由度が下がる
・配当金を期待される
・企業価値向上のプレッシャーが大きい

大きなデメリットとして、株式の比率によっては、経営の自由度が下がることが挙げられます。特に、重要なのが下記です。

●持株比率ごとの株主の権利
・持株比率が2/3を超える → 株主総会の特別決議の可決
・持株比率が1/2を超える → 株主総会の普通決議の可決
・持株比率が1/3を超える → 特別決議への否決など

経営において重要な事項を決定するときは、その重要度に応じて、普通決議、特別決議、特殊決議などがあります。もし、創業者で代表取締役であっても、事業を拡大するために、大きく出資を受け入れて持株比率を下げてしまうと、いわゆる雇われ社長の状態になってしまい、重要事項の決定ができなくなることもあります。資金調達を増やすと、持株比率が低下することは避けられないため、この低下をどこまで許容するのかが重要となります。

♦ ビジコン ♦

ビジネスプランコンテスト(ビジコン)とは、事業者がビジネスプランを競うコンテストです。民間企業や地方公共団体などが開催しており、大きな賞金が得られるコンテストもあります。一般的には、書類審査や面談審査を経て、最終のプレゼンテーションに登壇することができます。最終プレゼンテーションでは、来場者を募り、大勢の観客の前で行うオープン型や、特定の関係者のみの前でプレゼンテーションを行うクローズ型があります。

コンテストごとに、趣旨や目的が違い、単に事業の優劣を競うだけではなく、サポートやマッチングを目的にしたコンテストも増えており、事業者が求める支援と主催者の趣旨や目的が一致していることが重要です。

[ メリット ]
・賞金や助成金が得られる
・申請書の作成により、事業内容の整理ができる
・審査員からのアドバイスにより事業をブラッシュアップできる
・認知度の向上などプロモーション効果が得られる
・メディア、金融機関、VC、支援機関、起業家などの人脈が広がる
・コンテストの趣旨によっては、さまざまな支援が得られる
・有名なコンテストで入賞すると、対外的な評価が上がる

[ デメリット ]
・資料作りや審査に労力と時間を取られる
・オープン型だとビジネスアイデアを真似される可能性がある

あくまでも、コンテストの趣旨や目的に一致しているプランが評価されるため、入賞しなかったとしても自信を無くす必要はありません。

♦ クラウドファンディング ♦

クラウドファンディングとは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合せた造語です。インターネットにプロジェクトページを掲載し、活動への想いを社会に呼びかけ、広く支援者から資金を集めることができます。「寄付型」「購入型」「金融型」などの種類によってリターンが変わります。

[ メリット ]
・幅広く資金を集めることができる
・プロモーション効果が得られる
・市場ニーズの確認ができる

[ デメリット ]
・プロジェクトページの作成や、支援者対応など時間と労力がかかる
・ビジネスアイデアを真似される可能性がある

♦ 助成金・補助金 ♦

助成金・補助金とは、国や地方公共団体から、一定の要件を満たすことで支給されるお金で返済の義務はありません。「助成金」は、要件を満たせば給付される可能性が高いですが、「補助金」は予算や採択件数が決まっているものが多く、審査によって採択された事業者に支給されます。

[ メリット ]
・返済の義務がない
・申請書の作成により、事業内容の整理ができる

[ デメリット ]
・書類作成や事務処理が煩雑になることもある
・原則、後払いのため、事前に資金準備が必要

♦ その他 ♦

親族や知人から贈与を受ける方法もありますが、一定金額を超えると贈与税の対象になりますのでご注意ください。

 

岡島 卓也(中小企業診断士/大阪産業創造館 経営相談室 シニアコンサルタント)
大阪府出身。家業の酒屋経営に従事したのち、コンビニエンスストアの店舗運営管理・指導やIT 系コンサルティング会社の勤務を経て現職に至る。大阪産業創造館では、面談やセミナーを通して、創業から経営まで一貫した支援を行っている。

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経営相談室 シニアコンサルタント/中小企業診断士

岡島 卓也