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【飲食店開業への道】健康志向の女性に愛される「玄三庵」のカラダに優しい食堂経営の秘訣

2023.08.09

玄米&やさい食堂「玄三庵」は大阪の主要ターミナルエリアに7店舗を展開し、日本各地の契約農家から仕入れた厳選食材でつくる定食や弁当、惣菜、スイーツなどを提供。カロリーと栄養バランスを栄養管理士が監修する、カラダにやさしいメニューが女性客から高く支持されているお店だ。

代表の高根氏は19歳のときに甲状腺疾患を患ったが、玄米と旬の野菜を使った自然食による食事療法で復調した経験をもつ。その後、会社員としてハードに働く日々のなかで玄米菜食を提供する飲食店が周りにないことを憂えた。「東京へ転勤する話が出たのを機に自分の好きなことは一体何なのか考えたら、料理をすること・おいしいものを食べること・人に喜んでもらうことでした。じゃあ、自分で飲食店をやってみようと思って」。

代表取締役社長 高根 三枝氏

大阪産業創造館の飲食店開業サポート事業「あきない虎の穴」でノウハウを学んだあと、肥後橋に10坪の1号店をオープン。最初は苦戦したが、玄米と野菜を使ったヘルシーな定食が次第に評判を集め、4年後には西梅田に2号店を出した。

その後、淀屋橋odona、天王寺ミオ プラザ館、阪神梅田本店といった大型商業施設に店舗展開するが、出店はすべて先方からのオファーで実現したという。「みなさんが声をかけてくださるのは、女性を集客することも目的ですが、売上げ規模が大きくなくても土のついた野菜をイチから洗い、カラダにやさしい手づくり料理を愚直に提供しているからだと思っています」。

もう一つ、開業時からやりたいと思っていたのが食品物販。「できるだけ多くの人に健康的な食事を届けたい」という願いが、京阪シティモールに開いたテイクアウト専門店で叶った。「コロナ禍で中食の需要が高まったこともあってチャレンジ。飲食店とは異なる予測販売の難しさや面白さを経験しています」。

開業18年目を迎えられているのは、最初に作成した10年間の事業計画書があるからだと明言する高根氏。多店舗展開をめざしてハードルの高い目標を掲げた事業計画書を折に触れて見返し、事業や人材育成の進捗を確認。そして、「10年後に5店舗で売上げ2億円」という目標を、開業8年半で見事達成した。

スタッフの95%が女性というのも当社の特徴で、労務環境の整備は高根氏が常に抱えてきた課題だ。「会社規模を大きくして本部機能を分離させ、現場の負担を減らしたい。そのためには、現在の倍の10億の売上げが必要。でも、その目標を3年後に達成することは無理ではないと思っています」と、華やかな笑顔で未来をしっかり見据える。

【 新店舗の立地選定 】
3店舗以降は出店先の大型商業施設からのオファーで実現。玄米と野菜の食堂というニッチな産業なので大型商業施設の集客力は大きな魅力。また、女性スタッフが多いのでセキュリティ面でも安心できる。

【 店舗デザイン・設備 】
健康をイメージしたナチュラルな店舗デザインを施しているが、設備は売上げ目標に合わせた必要最低限のものを準備。店舗と設備にはできるだけ費用をかけず、お客さまが口につけるものには費用をかける主義。

【 10年先の事業計画書 】
売上げは、お客さまからの評価をあらわす店舗の通知表。事業計画書に長期にわたる売上げ目標を設定することが、多店舗展開だけでなく個人店においてもやりがいにつながると思う。

(取材・文/花谷知子 写真/福永浩二)

【 「あきない虎の穴」担当者からのコメント 】
年を追うごとに輝きが増している高根さん。毎日玄三庵の健康食を食べているからでしょうね。日清の安藤百福さんじゃないですが、創業者自身が商品力の証人となっているところが素晴らしい!そんな高根さんですが、「虎の穴」を卒業してすぐに相談もなしに開業されたときは正直驚きました。創業期はかなりご苦労もされたそうですが、それを乗り越えられた経験を、今は講師としてフィードバックいただいています。さらに、産創館にもご出店いただいたおかげで、30秒で玄三庵の弁当が買える贅沢を享受しています。ありがとうございます(笑)。
(大阪産業創造館 創業支援チーム 浜田 哲史)

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【 あきない虎の穴 】https://www.sansokan.jp/tora

株式会社サニーブランチカンパニー

代表取締役社長

高根 三枝氏

https://genmian.jp

事業内容/玄米&やさい食堂「玄三庵」の直営、給食事業など
店舗数/7店舗
開業日/2006年6月