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【飲食店開業への道】沖縄の美味を大阪で。「みやぶた」が贈る魅惑の沖縄料理店の舞台裏

2023.02.17

堺東駅の東口から線路沿いを歩いて約1分の場所に一軒家の沖縄料理店がある。沖縄以外では同店でしか食べられない石垣島産のみやぶたや島唐辛子などの調味料を使用し、出汁の効いた沖縄料理を提供。2019年3月のオープンからファミリーや老若男女の幅広い年齢層が訪れる。

石垣島や竹富島など八重山諸島産の希少な泡盛も取り扱う。

前職はゴムの掘削職人だったオーナーの宮本氏。一人旅で訪れた沖縄の人の温かさにはまり、月1~2回訪れた。先島諸島の民宿で食べた出汁の効いた沖縄料理の美味しさに感動し、多くの人に広めたいと思うように。定年後に開業しようと考えていたが60歳からでは体力的にキツいと聞き、42歳で開業を決意。退社後に知り合いの沖縄料理店で働きながら調理や運営を勉強し、飲食店開業サポート事業「あきない虎の穴」を受講した。

「自分がしてもらったように、飲食店の開業をめざしている人を応援したい」と宮本氏。

インターンシップ先の炭火焼鳥 杉の屋のオーナーからの「お客様があなたの店を選ぶメリットを考えた方がいい」と厳しくも親身なアドバイスに自分の甘さを実感。メニュー開発に奮起した。「石垣島のアンテナとして頑張ってくれるなら」と石垣島産調味料の会社の社長が協力を買って出てくれ、さらに、石垣島で「みやぶた」を育てている方を紹介してくれた。

みやぶたや調味料を扱えることになりメニューの9割が完成。銀行との交渉も順調に進められたものの、物件探しは2018年に発生した台風21号の影響で難航、唯一紹介された元バーの居抜き物件を即決することに。2階は座敷に改装したが、1階は現地の居酒屋をイメージしそのままの内装を活かした。

軟骨炙りソーキ(左)、みやぶた炙り焼き(右上)/みやぶた炙り焼きは看板メニュー、「脂が甘くて美味しい」と好評だ。みやぶたシャブシャブ(右下)/メニューの9割は「炭火焼鳥 杉の屋のオーナー」と一緒に考案した。

決意から1年7ヵ月で開業を果たし滑り出しは順調だったが、1年も経たないうちにコロナ禍に。すぐに二次元コードを読み取りオーダーするシステムを取り入れ、2階を6名でも貸切可能にした。時短営業中も同店の味を求めて客足は途絶えず、前年を超える売上げを獲得できた。

リクエストがあれば三線を披露したり、ライブをすることも。沖縄県無形文化財(八重山古典民謡)保持者の大工哲弘氏に師事し、夫婦でコンクールに出場する腕前だ。

オープンから4年。沖縄料理の多い大阪でも人気店になっている。「今があるのは杉の屋のオーナーや多くの方のおかげ。感謝しかない」と振り返る。お店を開業して続けていくには「キラーコンテンツが鍵」と同氏。「プラスしてお客様に喜ばれることを追求すれば何かが見えてくるので頑張ってほしい」と語ってくれた。

(取材・文/三枝ゆり 写真/福永浩二)

【 開業資金 1,000万円 】
自己資金は200万円しかなく、日本政策金融公庫で800万円を借入。沖縄以外で石垣島産のみやぶたと調味料を提供できる唯一のお店として価値を評価された。

【 立地選定 】
当時住んでいた堺市駅周辺から自転車で30分以内に行けるエリアで、駅から徒歩5分圏内で探した。商店街とは反対側だったが、隠れ家的な雰囲気が気に入った。

【 店舗デザイン・設備 】
1階の厨房設備はすべて入れ替え、2階は琉球畳の座敷で寛げる空間に。椅子はそのまま使用するなど、コストはメリハリを効かせた。

【 「あきない虎の穴」担当者からのコメント 】
卒業生オーナーからの紹介で「あきない虎の穴」に参加した宮本さん。正直最初はゆる~いイメージだったのでホンマに開業するのか?と思っていたが、当時のカリキュラムで実施した1日模擬店での他の受講者とのやり取りから「あ、割と本気なんや」と思うように。そのこだわりや本気度が仕入れ先などから支持されたことが、トントン拍子と言えるスピードでの開業に至った理由でしょう。開業後も前向きに試行錯誤を続けたことがいい雰囲気を作り出していて、「いいお店や」とおススメできるお店になりましたね。
(大阪産業創造館 創業支援チーム 浜田 哲史)

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【 あきない虎の穴 】https://www.sansokan.jp/tora

みやぶたと沖縄料理 沖炭

宮本 大介氏

http://www.aiyaru.com/

事業内容/沖縄料理店経営
座席数/42席(1F 22席、2F座敷 20席)※2Fはコース料理と飲み放題のみ受付
OPEN/2019年3月