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マーケット視点で女性特有の疾患の予防、未病に取り組む

2022.10.05

薬学部を卒業した後、大手化粧品会社で研究開発とマーケティングの仕事に取り組むも結婚を機に退職を余儀なくされた。出産後は、柔軟な出勤形態が可能な薬剤師として働き始め、数多くの患者とカウンセリングを重ねるうち、治療や薬だけでは症状が改善しない現実を知る。特に、女性の更年期症状やホルモンバランスの乱れに対しては香りが効果をもたらすことを知りアロマセラピーの資格を取得。患者の視点から医療以外の手法も含め疾患の予防、そして未病をめざすアプローチにたどり着いた。

薬剤師として勤務する傍ら週末にはアロマセラピーの講師の依頼が増え、独立を考えるようになった岡下氏。そこには「結婚や夫の転勤で自分のキャリアが閉ざされた過去から自分のやりたいことを貫いてみたい」との思いもあったという。

コロナ禍でアロマセラピー講師やセミナーの仕事は止まったが、新たにフェムテックをキーワードにしたイベントのコーディネーターや商品開発のアドバイザーの依頼が増え「やっと自分のやりたかったことを世間が理解してくれるようになった」と感じている。今なお月80時間の薬剤師の仕事を続けているのは「現場こそが最善のマーケティング」と信じているからだ。

(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)

◎創業:2019年8月
◎準備期間:3年
◎開業資金:300万円
金融機関からの融資を当てにしていたが、経験に基づく「無形資産」に対してはおカネを貸せないとにべもなく断られた。
◎HP作成費、交流会参加費、講座参加費
起業資金に充てるべく一時は薬剤師として週6日勤務した。情報収集や起業準備のためのセミナーには積極的に参加するうち「いつの間にか貯金はなくなっていた」。

― 起業年表(起業ストーリー)―
◎2016年2月
正社員として調剤薬局で働いていた頃、アロマセラピー講師の仕事が増え、独立を考えるようになった。
◎2018年10月
大手メーカーから女性のホルモンバランスに関する講師の依頼、大丸梅田店のフェムテックを扱う店舗のアドバイザーの依頼が舞い込み、起業に向け自信を深める。
◎2019年8月
体調が思わしくないときに、派遣で勤めていた調剤薬局の契約が切れ、「ここがタイミングかな」と思い、フェムテックコーディネーターとして起業に踏み切る。

― 働きながら起業準備してみて ―
◎良かった点
フェムテックコーディネーターの仕事だけではまだ収入が不安。薬剤師をすることで女性の疾患の悩みを現場で把握することができる。
◎苦労した点
薬剤師をやりながらの起業に対してクライアントから「中途半端な気持ちでやっているのでは」との指摘を受け歓迎されなかった。
◎気を付けるべき点
流行っているから、お金が儲かるから、という安易な気持ちで起業するならやめたほうがいい。無形資産での起業は正解もモデルもなく孤独だが、「自分が取り組んでいることは絶対に社会に必要なこと」という確信があれば道は開ける。

代表 岡下 真弓氏

― <起業・独立>ココがポイント ―
岡下さんは薬剤師という専門職に加え、健康面で悩む女性の課題解決のために何ができるかを常に考え、アロマセラピーの講師資格を取得、二足の草鞋によるソフトランディングで起業をスタートされました。知識・経験をベースにした目には見えないサービスをどう言語化して発信し、顧客に価値を感じてもらうかという難しさはありますが、現在も現場で直接顧客の声を聴きながらサービスに生かすという、兼業を両立している好事例といえます。
(大阪産業創造館 スタッフコンサルタント 東 純子)

【 経営相談室 】https://www.sansokan.jp/akinai

美養憧(Bi-You-Do)

代表

岡下 真弓氏

https://biyou-do.jp

事業内容/ヘルスケア・フェムテック関連のアドバイザー・コンサルティング業務