好きな香りで肌がキレイに?人への効能を証明
化粧品や洗剤、飲料など幅広い分野で、「香り」を特長にした製品が増えている。豊かな時間を過ごすための切り口として、五感に直接働きかける香りは付加価値として魅力的だ。好きな香りに癒されるという人は多いが、香りで肌がキレイになるというと驚くだろうか。感覚的なものではなく、その効果は数値で実証することができる。
株式会社ニコダームリサーチは、人が直接肌に付ける化粧品や、体内に取り込む医薬品・食品の原料が安全かどうか、また、どのような効能・効果があるのかを測定し、評価している。受託試験の専門会社としては草分け的な存在だ。代表取締役社長の矢作氏は、長年化粧品メーカーで美容成分の研究・開発に携わり、その後は原料メーカーで成分の測定方法の開発を続け、同社を立ち上げた。生活者に求められる効能・効果の証明を第一義に、客観性のある測定方法で、企業の商品づくりをサポートしている。
香りによるリラックス状態を調べるには香りを嗅いだ時に体内で起こる反応を測定、瞳孔の収縮や指先や脳の血流量の変化を調べ、副交感神経が優位な状態であることを確認する。末梢の血流量が増えれば、肌表面の水分量が増え、結果的に化粧ノリや肌ツヤがよくなる可能性がある。同社では、香りによるリラックス効果や肌状態改善などのエビデンスとして活用できる測定結果を解釈することができる。
人体に対して「治る」「効果がある」というような表現は、薬機法や景品表示法によって厳しく制限される。だからこそ、差別化を図る上で裏付けとなる測定結果は重要だ。効果をうたうため、「医薬部外品」や「機能性表示食品」の認可に必要な測定方法の開発やコンサルティングも行っている。
効能・効果ともう一つの柱が、安全性の証明だ。ヨーロッパから広まった動物実験への批判運動を受け、日本国内でも消費者が反応し、動物を使わない測定方法が開発されてきた。同社は「動物実験をした化粧品は買わない」という消費者の声をいち早くとらえ、先駆者に。ガイドラインの作成にも関わり、三次元培養皮膚モデルや三次元培養角膜モデルを用いてテストを実施。現在、日本の化粧品のほとんどは動物実験をすることなく、新製品を送り出している。
「消費者のニーズや関心をいち早くとらえ、開発者として具現化し、生まれたサービスが社会に循環する。このサイクルが一番大切だと思っています」という矢作氏。香りの次は、空間や音楽、映像、VR(仮想現実)といった、新しいライフスタイルが人に及ぼす効能・効果を解き明かしていきたいと、夢を語る。
(取材・文/衛藤真奈実)
≪ニコダームリサーチも出展!オススメイベント≫
香りで高付加価値をつける技術・原料・OEM製品の見本市
【香りの技術・原料展2022】
今回の展示会では「香り」で商品・空間・サービスに高付加価値をつける技術・原料を持つ企業が出展します。