商品開発/新事業

《講演録》どこにもない価値は逆境から生まれた!高級食パンの火付役“乃が美”創業ストーリー

2021.02.03

 
☞ 東京に頼らないビジネスモデル

乃が美のビジネスモデルには、もう一つ仕掛けたことがあります。それは、乃が美を全国チェーン展開するに当たって、東京に頼らない出店をしたことです。

チェーン店は、地方のどこかで流行るとその後必ず東京に進出します。逆に、東京をある程度、出店し、次に地方で店を出しても、最初のうちは話題になるけれど、次第に人の波は引いていく。私は、乃が美のパンは「ほんまもん」だと思っているので、いままでにない形で全国47都道府県を制覇しようと考えました。一部上場、100年200年続く会社に、という目標もありますが、それらを成し遂げるには「東京進出を目標にしてはいけない」と考えました。
 
そして6年8ヵ月で最後の地、秋田県に出店し、未上場の企業として47都道府県制覇を達成しました。

 
☞ 強い思いが「ほんまもん」をつくる

「ほんまもん」をつくることは、本当に大変です。皆さんもこれから事業をされていく中で、何を仕掛けるのか、方向性をどうするのかといったことに悩むかもしれません。「強い思いで考える」ことを忘れないでいただきたいと思います。

壁にぶつかったときにも、準備期間だと捉えて力を溜め込めば、次に飛ぶときはより高く跳ね上がれる。私自身、父親の事業の失敗でどん底を見て、うまくいかないことが多々ありました。けれど、そのたびに自分がめざすものを思い描いたからこそ、「これだ!」と思った時に、一気に高く飛べたのだと思います。

私のいまの野望は、ラーメンやうどん、寿司といった日本発信の食べ物が世界共通の食文化として通用しているように、柔らかくて口どけのいい、お年寄りや子供でも安心して食べられる乃が美のパンを世界に広げる事です。そのときまで、少々の困難があっても負けない強い思いを持って、これからも事業に向かっていきたいと思います。

 
(文/安藤智郎)

 
阪上 雄司氏(株式会社乃が美ホールディングス代表取締役社長)
1968年(昭和43年)兵庫県出身。高校卒業後、㈱ダイエーに入社。飲食部門の責任者を務めた後、独立し飲食店を開業。その後さまざまな業種業態の事業に取り組む。2013年、『高級「生」食パン専門店乃が美』を創業。2020年6月に全国47都道府県での出店を達成。パンづくりでは素人だったにもかかわらず「食べた人すべてが笑顔になる魔法の『生』食パン」として、現在、多い日で1日に全国で約8万本を売るお店に育て上げる。

株式会社乃が美ホールディングス

代表取締役社長

阪上 雄司氏

https://nogaminopan.com