エシカルをめざす姿勢を貫き、使う人と環境にやさしい製品を開発
多様な産業ニーズに応える総合液剤の開発・製造をしてきた株式会社M.I.Tは、子どもたちの巣立ちを契機に、元商社勤務だった一人の女性が平成17年に創業。
勤務先を定年退職した夫が後から参画し、夫婦で舵取りをしながら「素材・環境・人にやさしい」をモットーに、環境保全、社会貢献などを意味するエシカルなモノづくりを追求、実践してきた。
同社が手掛ける液体洗浄剤は「単にキレイにするだけではなく、作業者にとっても、周辺の環境にとっても安心・安全を基本に開発を行ってきました」と野間社長。
安全性の基準にことのほか厳しい大手電鉄会社からの要請に応え、車両窓ガラスの鱗状痕(ウロコ模様)・鉄粉を除去する洗浄液や、電車の外板塗装・ステッカーをスムーズに除去する剥離剤など、即効力はあるが環境面で不安のある「溶剤」を使用せず、安全性に優れた「水性」にこだわった製品を製造している。
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ガラスや鏡の鱗状痕を研磨ではなく液剤の力で除去する「グローバル-1」
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洗浄の様子
![](/wordpress/wp-content/uploads/2020/02/窓-施工前.jpg)
洗浄前(左)、洗浄後(右)
「弊社は先行他社のシェアに割り込むのではなく、ここを保護したい、この汚れを取ってほしいという個別の要望に対応するものづくりを行っています」と語る野間英夫企画・開発部長。
その言葉から、洗浄・コーティングという確立されたかに見える分野における、新しい課題解決に挑戦する研究開発型のマーケティングが伺える。
その他に、熱伝導性の高いポリシリコン素材を応用した多機能放熱コーティング剤「エコマイル2」は、車両の天井や外気に触れる機械部分に塗布し、内部にある機械類の放熱促進に活躍。
安全性と機能性に優れた同社の製品は、船舶、病院、商業施設、住宅など用途の幅を広げている。可能な限り作業現場へ出かけて行き、実際の洗浄・コーティング作業を体験しながら、ベストな機能性と作業性を妥協することなく追求するのが同社の姿勢だ。
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熱伝導性の高いポリシリコン素材を応用した多機能放熱コーティング剤「エコマイル2」
野間社長が現在洗浄用液剤と並行し注力しているのが、第2の軸である植物系(モミ殼)シリカ事業。
高純度モミ殼シリカ生成機「エシカルスター」の開発により、かつては野焼きされていた米作後のモミ殼を効率的に燃焼させ、高純度シリカ生成に成功した(有機JAS資材評価協議会資材登録済)。
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高純度モミ殼シリカ生成機「エシカルスター」。1,000㎏のモミ殻から約15~20%の高純度非晶質シリカを生成することができる。
「不要とされていたものを有用なものへ転換することで産業資源として活かし、その利潤が農家に還っていくようなエコシステムを実現したい」と野間社長。
十分に実現可能なそのビジョンに、産業資源に乏しい我が国の光明が見える気がした。
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代表取締役 野間 たまき氏(左)、企画・業務部長 取締役 野間 英夫氏(右)
(取材・文/山蔭ヒラク)