《講演録》日本レーザー近藤会長の経営哲学~崖っぷち会社を復活させた覚悟とノウハウ
▶人を大切にする採用・育成・仕組みづくり
利益が出ると親会社が50%の配当を求めてくるようになったため、会社を買い取って日本初のCo-owned Business(コーオウンド・ビジネス)という形態にしました。親会社、大株主、ファンドを入れずに、85%以上の株式を90%以上の社員で所有しています。
また、リタイア世代、女性、障害者、外国人の雇用を守り、多様な組織を作ってきました。
一人ひとりが大切にされていると感じ、発言しやすいフラットな組織作りの最初の一歩は、明るく元気な挨拶から。社長室はなく、私がフロアをぐるぐる回っています。
経営陣に対する批判があれば、「よくぞ言ってくれた」と当人をそっと褒めてから、全社会議で素直に謝ります。良かれと思っても、上から押し付けたことは失敗するものです。当人がやってみようと納得してから動いてもらうことが大切です。
大企業のような認知度がないので、新卒一括採用はせず、転職者を通年採用しています。8割が転職組で、うち2割は上場企業から来てくれたメンバー。4月時点で内定が取れなかった新卒者や、卒業後すぐ海外に出たため日本での就職チャンスを逃した人も積極的に採用しています。
面接では、学生時代や前職で、目標を設定して達成した経験、問題を解決した経験、新しいものを生み出した経験の3つを必ず聞き、成長を求める社風とのマッチングを図っています。
学歴やブランドだけで採用すると失敗します。入社後の教育だけではカバーできないことがあるからです。
人材育成のために売上げの1%にあたる3〜4000万円をかけています。毎週の社内報や全社会議のほか、MBA等の大学院に毎年3名を派遣。海外で開かれる展示会には、業務遂行に必要な人員の3倍ほどの人数を派遣し、モチベーションを上げてもらっています。
女性の事務職も全員海外出張経験があります。単にTOEICの高得点を課すのではなく、自ら経験し、自ら気づくことで語学力も上がっていきます。
仕組みとしては、売上粗利の3%をインセンティブとして支給していますが、配分は貢献度によって当事者が決めます。自分一人で頑張ったら100%もらっても良いですし、あの人に10%だけ渡したいということも。
不公平な配分は今後の協力が得られなくなりますので、皆納得して決めている。また、年に3回、幹部が30分の個別面接を行い、本人評価と経営評価のギャップを埋めるように努めています。
自主的に発信する「今週の気づき・感謝」に対しては、上司は必ず返信。現在は毎週120通・年間6000通が飛び交い、これまで13年続けて7万通。社内の活性化に役立っています。
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