Vol.16 人口密度が最も高い「城東区」

 
人口と行政区域面積のデータから人口密度を24区について算出すると、意外にも城東区(19,911人/㎢、2018年、以下同様)がトップになります。

日本で最も人口密度が高いのは東京都の豊島区(23,073)で、以下、第5位までは東京の特別区が並ぶのですが、城東区は第6位につけています。

大阪市の区では、第9位が西区(19,278)、第11位に阿倍野区(18,256)、第12位に東成区(18,250)が入ります。

 
それでは、なぜ城東区が市内でトップになっているのかを、要因分解して考えてみます。ここでは、統計データでフォロー可能であることを前提に、概念的なレベルですが、下記のように分解してみました。

 

 
これらを言葉で表現すれば、①行政区の中で建物が建っている面積の割合を増やすこと、②建物のうち住居の面積割合を増やすこと、③住居のうち中高層の割合を増やすことで高い面積効率で住居を整備すること、そして、④世帯当たりの平均人員を増やすことで、人口密度が高くなる関係に分解したものです。

 
そこで、各要因別に上位10区をリストアップしてみました(表1)。

 

表1:要因別のベスト10位までの区とそのデータ

出所:大阪市「統計書」、「国勢調査」、「土地利用現況調査」

 
これら要因①~④の全てでベスト10内に入っているのは、実に城東区だけなのです。3要因でベスト10内に該当しているのは阿倍野区と住吉区ですが、いずれも要因③6階以上に住む世帯数の割合では第16位以下と低位置にあります。

この理由の一つは、前回の阿倍野区で述べたように、用途地域指定で低層住宅しか建てられない割合が高いためであると考えられます。

 
以上のことから、城東区はバランスが上手く取れていることで、人口密度でトップに位置していることがわかるのですが、実はトップの地位が危ぶまれる状況にあります。

 
2010年以降の人口増加率で年率1%以上を誇るのは、中央、西、北、浪速、福島、および天王寺の6区であり、要因③の上位6区とピタリ合致するとともに、環状線の内側に区域が存在する区ばかりです。

すなわち、人口増加は高層マンションが活発に建設されてきた区であると言えそうなのです。

また、これら6区は要因①、②、④において、殆どベスト10に挙がっていません(要因①での天王寺区のみ)。逆に言えば、これら3つの要因で上位をうかがえる可能性が残されているということです。

 
他方、城東区について要因①~④の改善の可能性を考えてみます。要因①は実数値ではトップとさほど差が開いておらず、上限に近いと言え、さらなる積み増しは僅かしか期待できません。

要因②はトップの旭区とは2ポイントも低いことから、積み増しが可能なように思われますが、城東区には公益的施設が複数建設されているために容易ではないと判断されます。

すなわち、大阪市の12の下水処理場のうち、3つ(放出、今福、中浜)が城東区にあるうえに、JRの森ノ宮電車区と大阪メトロの検車場が森之宮駅東側に広大に拡がっています。その他にも地方独立行政法人の大阪産業技術研究所も同じエリアに昔から立地しています。

要因③に関しては、トップの西区とは18ポイントの差がありますが、低層住宅が拡がっているなかで、西区までの積み増しはできませんが、多少の上昇が期待できる要因ではあります。

最後に要因④はトップの鶴見区とは歴史的成り立ちが異なるため、そこまでの積み増しは困難と考えられます。よって、最も期待できる要因は③で低中層住宅のエリアに中高層のマンションを建設することと言えましょう。

 
実は、人口密度で第2位の西区の特性として、この3年間の人口平均増加率は2.8%/年でトップを走ります。他方、城東区の増加率は0.4%/年に過ぎず、西区との差は差し引き2.4%/年のスピードで縮まっているのです。

したがって、現在の人口密度の差が3.3%であるので、このままのスピード差が続けば2年、すなわち2020年の国勢調査で逆転することになります。

 
決して人口密度が高いことが良いことであるとは断定できませんが、客観的な見方をすれば、こうした見通しになるということを申し上げておきます。

(取材・文/大阪産業創造館 徳田裕平)

大阪産業創造館 徳田裕平
建設コンサルタント会社やシンクタンクを経て、縁あって旧・大阪都市経済調査会の事務局長に就任。
大阪市をどうやって元気にするかをテーマに日夜、調査・研究に励む。

2019年08月20日

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