Vol.11 最も多くの駅を擁する「西成区」
この3月16日にJRおおさか東線が全通し、大阪市内には3つの駅が新設されました。そこで、今月は鉄道(軌道を含む)の駅(軌道の停留場を含む)に着目した分析をします。
都道府県別の駅数では大阪府は東京都、北海道に次ぐ第3位であり、500駅以上あります。大阪の特徴は、たくましい起業家が多くの民営鉄道を開業した歴史から私鉄が多いことであり、複数の大手私鉄事業が存在する都市は東京圏と大阪圏のみです。
大阪市内に目を転じて、最も多くの駅を有する区はどこなのかを調べてみました。実に予想外の結果でした。
駅の数を区別に調べると、10駅以上を有する区が10区ありました(表参照)。最多は西成区と中央区の21駅です。中央区を予想した人は少なくないと思いますが、西成区も同数を誇っており、区の面積の大きさを考慮すると実質的には西成区がNo.1と言えます。
また、駅名の数では西成区が単独トップです。中央区は、大阪メトロと民鉄の交差地点で、3駅が同一名となるためです。
西成区に多い理由は、駅(停留場)間の間隔が短い阪堺電気軌道が通っているからで、9駅が該当します。住吉区も同様の理由でNo.3につけています。
次に、鉄道事業者別の構成をみると、これら全10区には大阪メトロとJRの駅が揃って存在し、他にも私鉄の駅が立地しています。事業者数の最多は、意外にも、区の面積が最も狭い浪速区であり、阪神なんば線が開通したことで6事業者に増え、単独トップとなりました。
駅の乗降客数をみると、ターミナル駅を擁する北区、中央区、天王寺区などが上位を占めます。
西成区で最多客数を誇る駅は天下茶屋で、大阪メトロと南海が各7万人/日とほぼ同数であり、駅舎も両路線が共用していることから、乗換駅と言えます。
他方、西成区内の阪堺線の乗降客数は恵美須町を除き、最少人数のグループに属し、100人/日前後に過ぎず、経営的には厳しい路線となっています。
西成区は大阪市で最も高齢化が進んでいる区でもあり、阪堺線が日常生活に不可欠な唯一の交通インフラである人々には軌道事業の持続が望まれています。
今、区内で取り沙汰されている「大阪中華街」構想が実現されると、軌道の利用者も増え、経営安定に資するかもしれません。
(取材・文/大阪産業創造館 徳田裕平)
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