Vol.12 地価も高く、最も潤沢な税収を誇る「中央区」

2019年3月19日に地価公示が発表されました。三大都市圏の商業地で最も上昇率が高いのは大阪市中央区日本橋の「黒門市場千成屋」地点で、上昇率は44.4%でした。次いで、僅差で、北区茶屋町の「エスパシオン梅田ビル」の44.2%が続きました。

商業地に関する近年の上昇率の推移を区別に示したのが図1であり、最新データでは、中央区(42地点平均)は北区(29地点平均)と同率の15.1%であり、浪速区(10地点平均)に次いで第2位に位置しています。

トップの浪速区は本コラム・シリーズのVol.1で「今、最も勢いを増している浪速区」と紹介したように、依然として高い上昇率を誇っています。

また、地価の水準で見れば、第1位は大阪市中央区宗右衛門町7‐2(クリサス心斎橋)の1,980万円/㎡、第2位は北区大深町4‐20(グランフロント大阪 南館)の1,900万円/㎡で、昨年と同じ順位でした。

また、地価のベストテンの顔ぶれを見ると、中央区が7地点、北区が3地点で、両区のみで占められています。調査地点平均の商業地地価で両区を比較すると、中央区が313万円/㎡に対して、北区は300万円/㎡であり、中央区が4%強、高くなっています。
 

≪ 図1 近年の商業地の地価上昇率の推移 ≫

注:2019年1月および18年7月の調査で調査地点がともに3つ以上の区のみ表示。
各前年比は地価公示(1月、国交省)、地価調査(7月、府)同士の比較による増減率であり、調査地点数などは両調査で異なる。
出所:国土交通省「地価公示」、大阪府「地価調査」

 
このように、中央区の地価が最も高価で上昇率も高い理由は、近年、大阪でも急増するインバウンド客向けに、ホテルや飲食・商業施設としての建築需要が旺盛であるためと考えます。

ちなみに、建築着工統計(2018年)によれば、宿泊業,飲食サービス業用の建築物では、中央区が大阪市全体の床面積の52.6%、工事費予定額の60.0%を占めており、商業用でもそれぞれ3割前後を占めています。

北区は居住産業併用の建築物が多く、そのうちの半分程度が宿泊業,飲食サービス業用や商業用であると推察されますが、それを考慮しても中央区のせいぜい半分程度に過ぎません。さらに、2025年に開催される大阪・関西万博の来阪者向けを企図した将来需要も大いに期待できます。

土地を所有する個人や法人には毎年、固定資産税が課せられますが、その元となる固定資産税路線価は3年に1回、評価替えが行われます。その規準となるのが公示地価であり、その7割程度と言われています。したがって、公示地価の上昇が続けば、自ずと固定資産税ならびに都市計画税が増税となるわけで、税収増の観点からは地価上昇が望ましいと言えます。

大阪市の場合、両税(家屋や償却資産分も含む)が市税収入に占める割合は50%強で推移しており、ベーシックな財源として極めて重要な役割を担っています。

本コラムでは商業地の地価に着目して分析しましたが、中央区には大企業の本社機能をはじめとして、サービス業や卸売業などの幅広い産業集積に関しても、殆どで最大となっており、そうした法人から上がる法人市民税なども莫大な金額となります。

区役所扱い分の全税収で見れば、中央区は22%強を占め、トップをキープしており、北区よりも3ポイント程度上回っています。

このように、中央区は市税の中核をしめる固定資産税や法人市民税などを最も多く稼いでいる区であり、その潤沢な税収を、将来に向けて再投資が促進されるよう有益に活用し、大阪の持続的発展に資することを期待します。

(取材・文/大阪産業創造館 徳田裕平)

大阪産業創造館 徳田裕平
建設コンサルタント会社やシンクタンクを経て、縁あって旧・大阪都市経済調査会の事務局長に就任。
大阪市をどうやって元気にするかをテーマに日夜、調査・研究に励む。

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2019年04月16日

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