本シリーズの第2回目で、各区の製造業に関して、従業員規模別の減少率の低さに着目した分析から、『小規模ものづくり企業が頑張っている「西淀川区」』とのタイトルで公表しましたが、事業所数の絶対数では生野区や平野区が上位にあります(表1の左側再掲部参照)。
表1からわかるように、南東の2区(生野、平野)は小規模~零細が大半で、北西の2区(西淀川、淀川)は中堅~大規模の割合が相対的に多い特徴があります。
出所:総務省「経済センサス‐活動調査」、経済産業省「工業統計調査」
そのため、産業中分類別に、事業所数、従業者数、現金給与総額、製造品出荷額等の4指標に着目して、上記4区が24区の中で上から何位に位置しているかをカウントしました(表2)。ただし、表2では、中小製造業が集積する平野、生野の両区が上位にある業種のみを示しています。
表2を丹念に見ると、平野区はプラスチックから電気機械器具に至る太字の8業種に関して、4指標ともに3位以内にあることがわかります。また、生野区についても、平野区が上位につけている業種に関しては、概ね上位にあることが指摘できます。
平野区が上位につけている8業種をみると、最終完成品は大がかりな製品である業種も含まれますが、それらの部品やパーツなどは高機能で精密な小物を使用することが求められる業種が多いと言えます。中小製造業が得意とする小回りの利いた、きめ細かなものづくり技術の広範な活用により、大阪市が誇る多様で多層な産業集積を支えていることが言えましょう。
ものづくりを取り巻く環境は、IOTやAIへの対応など、従来技術だけでは対応できない時代を迎えつつありますが、他社との連携などにより、高度な技術を取り込んで発展されることを今後も期待しています。
出所:経済産業省「工業統計調査」2017年
注 :「?」は統計が秘匿値であることを示す。
大阪産業創造館 徳田裕平
建設コンサルタント会社やシンクタンクを経て、縁あって旧・大阪都市経済調査会の事務局長に就任。
大阪市をどうやって元気にするかをテーマに日夜、調査・研究に励む。
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