Vol.8 医薬品製剤を中心に極めて高い付加価値産業が集積する「淀川区」

ものづくり産業の集積に関しては、西淀川区の号で市内4区を従業員規模別に比較しましたが、ここではものづくり産業の力強さを加味した分析をします。

力強さの指標として、ここではGDPに相当する付加価値額とその一部を構成する現金給与総額を用います。集積指標(事業所数、従業者数)と力強さ指標を総合すると此花区と住之江区が新たに加わります(表参照)。

≪ 表 ものづくり産業が活発な主要6区の概況(2016年)≫

注:従業者4人以上の事業所が調査対象。29人以下の事業所は粗付加価値額。【下図も同様】
  事業所数、従業者数については2017年6月1日現在。一人当たりは従業員当たりの意味。
出所:経済産業省「工業統計調査」平成29年【下図も同様】

此花区と住之江区の特徴は、ベイエリアにあり、広い用地が確保できるため、従業員規模も大きくなります(特に此花区)。

表で力強さに着目すると、付加価値額に関して淀川区が突出して高いことであり、一人当たりでも同様です。また、現金給与面でも淀川区はトップクラスにあります。

この極端な差異は業種の特異性に起因しています。市全体の製造業の(粗)付加価値額を産業中分類別に見ると、化学(4,646億円)が30.3%を占めており、第二位の金属製品:10.8%とは格段の差があります。

さらに化学の細分類内訳をみると、医薬品製剤が80.3%を占め、第二位以下の化粧品:4.2%、石けん・合成洗剤:3.9%などを圧倒しています。すなわち、医薬品製剤は製造業の(粗)付加価値額の約1/4を占めるガリバー産業なのです。

≪ 図 淀川区の製造業における主要7業種の(粗)付加価値額と全市でのシェア ≫

注:情報通信機械器具の(粗)付加価値額は秘匿されているため、従業者数の全市シェアを用いた推計値。

淀川区の主要7業種の(粗)付加価値額に関して、実額(X軸)と市全体に占める業種別シェア(Y軸)で散布図を描くと、その特徴がわかります(図参照)。化学工業は右上方の飛び離れた位置にあり、(粗)付加価値額も莫大(2,493億円)で、全市の53.7%を占めています。

化学以外では情報通信機械器具が高い全市シェアを誇りますが、金額では電気機械器具、金属製品がそれを凌ぎます。その他では、はん用機械器具、業務用機械器具などの機械系と紙関連が主な産業です。

また、サービス産業に関しては、新大阪駅を内包し、東京へのアクセスが良いため、情報系、コンテンツ系でもかなりの集積を誇っています。

医薬品を中心とする化学を基軸に、機械系ものづくりとIT系産業の集積を特徴とする淀川区は、来る2025大阪万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」の実現に向け、先導的役割を担うポテンシャルを有しているのです。

(取材・文/大阪産業創造館 徳田裕平)

大阪産業創造館 徳田裕平
建設コンサルタント会社やシンクタンクを経て、縁あって旧・大阪都市経済調査会の事務局長に就任。
大阪市をどうやって元気にするかをテーマに日夜、調査・研究に励む。

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2018年12月18日

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