ものづくり

金型技術を活かし、オリジナルな「頂」へとチャレンジ

2018.10.10

富士山の裾野に、日本の四季を彩る花の模様がキラキラと光る。祝い事のテーブルだけでなく、普段の食卓に置いても毎日の「食」のありがたさを美しく演出してくれそうな、その名も「ITADAKI(いただき)」というカトラリーレスト。

ブライダルギフトや海外へのお土産としても人気だ。

現在、歯ブラシの金型で全国トップシェアを誇る株式会社武林製作所は、創業以来、プラスチック用金型の設計・製作を地道に行ってきた。

ただ、時代とともに計画性が見込みにくい受注生産が増え、その波が大きくなるにつれ、自分たちの技術を使って他に何かできないかと模索してきた。そんな時に、大阪産業振興機構主催の「大阪商品計画」への参加企業募集を知り、応募したのが商品誕生のきっかけだ。

ステンレス製のシルバーと、ステンレスに金メッキを施したゴールドの2色。富士山の頂に向かう裾野に、菊・梅・桜・芍薬・ツツジの花柄が描かれている。

専務取締役の武林氏は、その時に協力を仰いだ商品開発プロデュースに精通したデザイナーなどのアドバイザーに大変助けられたと話す。商品開発に応募したものの、やったことがなく、何をすればいいのかというノウハウから教えてもらったという。

何を商品化するかという段階で試行錯誤し「金型を作るときに出る廃材を使ってできることを考えてみては?」とのアドバイスを受けた。具体的な商品を決める際には「アイデアを100本出すノック」を受けた。

さらにカトラリーレストの設計段階では「頭から煙が出そうになるくらい考え抜きなさい」と叱咤激励され、「実際に煙が出た」と笑う。

職人の技が生み出した、見る角度によって表情が変わる輝き。

いざ、具体案を考えるデザイナーとの打ち合わせでは、金型づくりに対する熱い思いを語り、「自分たちの技術を全部出し切りたい」と訴えた。富士山と日本ならではの花がモチーフに決まると、見る角度によって表情が変わる模様にこだわるなど、美しさを追求して彫り上げた。

模様を描いたのは、ダイヤモンドの次に硬いといわれる超硬の極細刃物。工作機械がコンピューター上に表現されたデザインに沿って、太さの違う超硬の刃物を自動で差し替えながら削る。模様に応じて0.001ミリ単位で微調整を繰り返す作業は、これまで経験を重ねてきた熟練の職人でしかなしえなかった。

さらに、鏡面磨きの技術で「なにわの名工」として表彰を受けた職人が、微細な傷やバリなどを無くすため1本ずつ手仕上げするなど、あらゆるところに大手メーカーの細かな要望に応え続け信頼を勝ち取ってきた、職人のこだわりの技が活かされている。

専務取締役 武林広高氏

この「ITADAKI」の名には「日本一の高みをめざす富士山の頂」「技術の最高峰」「お客様の満足度も最高」との思いを込めた。また、日本の文化として「いただきます」と手を合わせる姿勢と富士山の形を重ねているという。

「先日、大手百貨店での催事の展示会に出品し、同店のバイヤーも驚くほどの売上げを記録し、自信になりました。今後は、テーブルウエアに限らず、金型のこれまでの技術を活かせる商品づくりを常に考えていきたい」と武林氏は将来を見すえる。

(取材・文/工藤拓路)

≪武林製作所も出展!オススメイベント≫
初開催【外国人向け商材フェア2018】外国人の『欲しい!』を喚起する商材が集結

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株式会社武林製作所

専務取締役

武林 広高氏

http://www.tmc1972.com

事業内容/各種プラスチック用金型の設計・製作