産創館トピックス/講演録

《講演録》お客様も社員もワクワクさせる経営術~UDS流・付加価値を生む“組織の企画力”の育て方【後編】

2018.07.09

>>> 社員と向き合い、成長を促す人事戦略

――社員とのコミュニケーションはどうされていますか。

私自身が、全拠点、全社員と年4回、30分以上会話する機会をつくっています。対話の積み重ねをしていかないと、運営の最先端までは会社の哲学や方向性が浸透しないからです。年4回も対話していると本音も見えてきますからね。現場のガス抜きにもなります。

――若手を責任あるポジションに起用しているんですね。

例えば、ホテルの支配人業務は20代に任せていたりします。若くて何もわからないし、何もできません。でも、立場により責任感がつくので、学び方の角度がぐんと上がり、成長します。そうなると、30~40代も何かしなきゃな、という風になる。そうやって社員を徹底的にチャレンジしなければいけない環境に置くようにしているんです。

マネジメント研修だって、早くからする方がいいんです。成長がめちゃくちゃ早いですから。逆に40歳になったら覚えられない。自分の成功体験もできてしまっていますから。日本企業は課長になってから課長研修しますよね。あれでは遅すぎます。

――役職で世代間の逆転現象が起きて不満が生まれませんか。

確かに逆転現象はしょっちゅう起きています。でも、不協和音は今のところ起きていませんよ。というのも、できるだけ組織をフラットにして役職自体にモチベーションを持たせないようにしているんです。評価軸も、この役職だから、というよりは「いかにお客様に感動を与えられているのか」という軸でもきちんと評価するようにしているので、役職者の方が高収入とは限らない給与体系なんです。

 
>>> 「社長業っていいよね」を若者に伝えていきたい

――今日お集まりの方々は経営者も多いと思います。最後に何かメッセージをお願いします。

私は、子どもたちに仕事の楽しさを伝えたいと思っています。楽しいと思える仕事に夢中になれるのは幸せですから。特に自分の役割は、経営が楽しいと伝えることだと思っています。

今、若い人で社長になりたい人が減っていますよね。でも、会社の成長を支えるのはやはり経営であり、社長。ひとりでも多くの若い人に「社長業っていいよね」ということを、皆さんと一緒に伝えていくことができたらいいなと思っています。

(文/今中有紀)
 

中川敬文氏 UDS株式会社 代表取締役社長
1967年3月生まれ、東京都出身。関西学院大学卒。平成元年4月株式会社ポーラ化粧品本舗(現株式会社ポーラ)入社。平成3年1月株式会社オーディーエスに入社し、翌年7月同社上越ウィングマーケットセンター開設事務局ディレクターを務める。平成11年2月株式会社都市デザインシステム(UDS)入社。平成13年6月取締役、平成15年6月代表取締役副社長を経て、平成23年1月代表取締役社長就任。コーポラティブハウス、キッザニア東京、LEAGUE(コワーキングスペース)、RICOH Future House、薩摩川内市スマートハウス、練馬区立こどもの森、滋賀県首都圏情報発信拠点「ここ滋賀」等、企画・コーディネイト実績多数。http://www.uds-net.co.jp/

 

山崎大祐氏 株式会社マザーハウス 取締役副社長
1980年東京生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。大学在学中にベトナムでストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮影したことをきっかけに、途上国の貧困・開発問題に興味を持つ。2003年、ゴールドマン・サックス証券に入社。エコノミストとして、日本およびアジア経済の分析・調査・研究や各投資家への金融商品の提案を行う。2007年3月、同社を退社。大学時代の竹中平蔵ゼミの1年後輩だった山口絵理子が始めたマザーハウスの経営への参画を決意し、同年7月に副社長に就任。マーケティング・生産の両サイドを管理する。マザーハウスは途上国でバッグやジュエリーを生産。国内27店舗、香港および台湾7店舗で販売している(2018年3月現在)。https://www.mother-house.jp/

UDS株式会社

代表取締役社長

中川 敬文氏

http://www.uds-net.co.jp/