ものづくり

《講演録》製造業の組織改革~実践企業が語る士気を高める戦略とは~【2】

2022.01.17

《講演録》2021年10月14日(木)開催
【ものづくり向上委員会】
製造業の組織改革~実践企業が語る士気を高める戦略とは~

「業務の属人化」「経営層と現場で意思疎通が取れていない」などの組織課題に対し、製造業ではどのような対策がなされているのか。今回の講演では、上司からの支援、組織風土、制度待遇など60以上の項目を徹底分析し、製造業に合わせた対処法を紹介する。続いて、実際に組織を変革した中小製造業2社の経営者に経験談を語ってもらった。

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《講演録》製造業の組織改革~実践企業が語る士気を高める戦略とは~【1】


◆経験談を発表!中小製造業での実践例を知る

事例1:東福鍛工組織づくりの極意
田中 君枝氏(東福鍛工株式会社 取締役副社長)

 
◉ネイリストから部品工場の経営者へ

東福鍛工は、鍛造によって高められた金属特性を生かし、ありとあらゆる形状の部品に製造をはじめ、工作機械や半導体・宇宙関連部品など多様なニーズに応えるものづくりを行っています。

プログラムで制御された機械を用いるのではなく、職人が技術と経験を生かして、あらゆる形状や大きさの部品を作っています。納期が早く、小回りが利くというのも特長で、現在、約300社から受注を頂いています。

私自身、以前はネイリストとしてサロンを立ち上げ数店舗を経営していました。結婚後、父親の経営する東福鍛工が経営不振に陥り、夫と私はそれぞれの事業を投げ打って東福鍛工の経営をすることになりました。

 
◉企業はお金を稼いでなんぼ

事業を引き継いだ当初、会社の状態はボロボロでした。社員は次々と辞めていく、社員の給料は安いし、仕事をサボっていても誰も注意しないという状態だったのです。

まずは組織を良くしてきたいと社員一人ひとりの意見を聴いてみたのですが、不平や不満の声しか出てこない。会社を良くしていこうという意見はほとんどありませんでした。

私自身、青年会議所などに所属し、さまざまなセミナーを受講する中で、社員が自由に意見できたり、社長が動かなくても社員自らが行動したりといった話をたくさん聞きました。しかし、そうした事例が私の会社に当てはまるだろうかと考えた時、「いや、違う」と感じたのです。

考えを巡らしたうえ「企業はお金を稼いでなんぼ」という考えに行き着きました。組織の問題の多くは利益が解決するという実感もあったので、人気のある働きやすい会社よりも、利益が出ていて給料の高い会社にしようと方向転換したのです。

東福鍛工株式会社

取締役副社長

田中 君枝氏

https://www.toufuku-tankou.co.jp