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障がいではなく、得意・不得意で考える

2018.03.29

毎年、高校生のインターンシップを実施してきた株式会社フジムラ。7年前から、特別支援学校に通う障がいのある生徒を受け入れるようになった。「難しく考えず、同じ高校生として歓迎した」と話すのは代表の橋本氏。一度に1人だけ、期間は2週間で年に2、3人を受け入れている。

「ハンディや苦手なことは誰にでもあります」。自身もこの2年、大きな事故や病気が重なって長い入院生活を余儀なくされた。「私も社員や家族に助けてもらっています。助け合いながら、それぞれの持つ能力を引き出していけたら」。

「仕入先と外注先を大切に」。紆余曲折あったこの40年、学んできたことを若手に託す。

少数精鋭の鉄工所としては、インターンシップ自体、手間が取られて生産性を下げるリスクがある。機械や工具、重い鋼材など、扱いを誤れば危険なものも多い。一方で、前途有望な若い人材に出会える貴重なチャンスでもある。「うまくマッチングできれば、ぜひ社員になってほしいという気持ちがありました」。

自然の流れに乗り、人の縁で仕事をしてきた、という。「必要な時には必要な人が来てくれる。そう信じています」。

実際に、初めて受け入れた支援学校の生徒は、卒業後に正式採用へ。休憩時間も熱心に復習し、道具の扱いや身体の使い方には職人の素質があったという。言葉遣いも丁寧で、始業・終業時には工場から橋本氏のいる2階フロアまでわざわざ挨拶にくるほど。7年が経った今、なくてはならない戦力に育った。

「ものづくりに必要な動きは、繰り返すうちに身体が覚えます。図面の読み取りが苦手なら、得意なメンバーがフォローすればいい。彼が入社する時に、特別なことは何もしていません」。給与も他の社員と同じ。ご両親には、能力によって差がつく業界だと伝えたが、ここで働くことを喜んでくれた。

インターンシップを経て社員になった福林さん。誰もが認める真面目さ・熱心さで、溶接などの作業をこなす。

真面目な勤務態度や丁寧な挨拶は、他の社員にとってもいい刺激になっている。「職人とはいえ、黙々と仕事をするだけではダメ」。橋本氏のめざす会社像に大きな役割を果たしてくれている。

今年の春、新入社員を迎えた。インターンシップに来た特別支援学校の生徒だ。「人に教える体験を積むことで、さらにステップアップしてほしい」と楽しみにしている。

代表取締役 橋本 秀一氏


(取材・文/衛藤真奈実)

今回、株式会社フジムラが選ばれた【ええやん!プロジェクト】とは・・・
大阪産業創造館では、「ええやん!プロジェクト」と題し、人事制度や働き方改革、地域貢献、異業種連携などの取組みを中小企業から募集しました。
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=25106

31の応募の中から「今後の展開の可能性」「社会的意義」「ユニークさ」から審査を行い、5社に取材し掲載しています。
↓↓↓今回取材した5社の取組みはコチラから↓↓↓(順次公開)
https://bplatz.sansokan.jp/archives/category/eeyan

株式会社フジムラ

代表取締役

橋本 秀一氏

http://www.kk-fujimura.jp

事業内容/産業プラント(装置・設備等)の製缶業、鋼材・鉄板の加工・組み上げ