「患者のため」へ後発薬の客観情報をDB化

特許が切れた先発医薬品と同じ成分でつくられ、価格が安い後発医薬品(ジェネリック医薬品)。国は膨らみ続ける医療費を抑えるために医療機関や薬局に先発医薬品からの切り替えを促しているが、代用率は65%にとどまる。

そこで、榎本薬品は医療機関を通じて「効果」「副作用」「使用感」について1000品目以上の後発薬の服用患者から生の声を収集、分析し、その結果をフィードバックする仕組みを整えた。

「現状では患者が入手できるジェネリックに関する情報が少ない。医師や薬剤師がデータに基づいた客観的な情報を患者に提供できるようになれば利用を増やせる」と榎本氏はねらいを語る。

同社は1951年の創業当初から後発薬の専門卸として歩んできた。2000年代の後半以降、政策として後発薬の普及が図られたことは同社の追い風となった。だが、競合他社が後発薬の扱いも強化しており競争は激化している。榎本氏が一昨年前同社に入ったのはまさにそんなタイミングだった。

榎本氏は入社前、高槻病院などで小児科医として勤務し、今も主に外来を担当する現役の医師だ。「目の前の患者によりよい医療を提供したい」との思いから、多忙な小児医療の傍ら、新たな治療や投薬の方法を開発する臨床研究に心血を注いできた。

入社して業界を取り巻く厳しい環境を知るや、「医療からビジネスへと舞台は変わっても、現場であぶりだされる問題を拾い出し一つひとつ解決し質の高いサービスを提供していくのが自分のやり方」と、営業担当者とともに医療機関を訪ね回った。

医療機関ごとになぜその後発薬を使っているのかヒアリングしてみると、経営的な観点や処方のしやすさといったさまざまな理由があることを知った。しかし、はたしてそれらの理由で選ぶ後発薬が患者にとってベストな選択なのだろうかという疑問を抱いた。

そこで「効果がある、副作用がない、飲みやすいといった患者にとって良い後発薬を提供するという新たな物差しを作りたい」とデータの収集、分析に思い至った。分析は東京大学との共同研究事業を組成し客観性も担保した。「協力してくれる医療機関が140にまで順調に増えていることがなにより心強い」と手応えを感じている。

「安いからではなく、この薬が患者にとって良いからという理由で勧めてもらえる基盤を早く整えていきたい。それがひいては後発薬専門卸としての付加価値をつけることにもつながる」と新たなジェネリック卸のあり方を追求している。

現在も現役の医師として病院に勤務する榎本氏。

(取材・文/山口裕史)

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2018年02月01日
榎本薬品株式会社
代表取締役社長  
榎本 真宏氏
事業内容/医療用医薬品卸売業

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