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財産を受け継ぎ、自転車の楽しみを伝える

若者やアジア人観光客でにぎわうアメリカ村にあるビルの地下へ足を踏み入れると、自転車好きがワクワクするような世界が広がっている。

米国製のヴィンテージ自転車とともに中央に置かれているのが日本製フレームで作られたカスタム自転車。ここではフレーム、サドル、タイヤなどのパーツを自由に組み合わせ、フレームを好きな色に指定し、世界に一つだけのオリジナル自転車をつくることができる。

イギリスの老舗サドルメーカーBROOKSのサドルをはじめ、こだわりのグッズが並ぶ店内。(左)
アメリカ村にあるショップの入口。水色の扉が目印だ。(右)

入口近くにあるポンプの正体を聞くと上階に水を引くためのものだという。「ここはもともと祖母が営んでいた旅館だったんです」と笑中氏。

客足が減り、会社員だった父・公三さんが「何か売れそうなものを」とビルを改装して始めたのが自転車ショップだった。「英語が話せないのに海外のメーカーを直接訪ね、日本人の体に合うように改良しては持ち帰ってくるような人です」。その店も2004年には閉めた。

海外で郵便配達に使われていたというヴィンテージ自転車。

当の笑中氏は小さい頃からあこがれていたCAの仕事に就いて結婚。3人の子どもを育てながら忙しい日々を送っていた。だが、40歳を目前に「新しいことにチャレンジしたい」との思いが頭をもたげるようになった。

壁や床などの内装は、笑中氏がDIYで仕上げた。

当初自転車ショップは選択肢になかったが、公三さんの思いをあらためて聞くうち再開へと心が傾いていく。「わざわざ苦労せんでも」と一番反対したのは公三さんだったが、「父がせっかく築いた財産。引き継がなければもったいない」と押し切った。

とはいえ自転車はまったく素人の世界。自分で組み立てられるようになるまで自転車店で修業を積み、付き合いのあった部品メーカーを訪ね歩いた。

ブレーキワイヤーを束ねた管がフレーム内に隠れるように切れ込んだ穴はオリジナル仕様だが、管を差し込みやすいようさりげなく角度がつけられていることも知った。「そのようなメーカーのさりげない気遣いも含めてお客様に伝えています」。出荷前の最終チェックは公三さんに担ってもらっている。

自転車の奥深い世界に触れるほど、「自転車にふだん乗らない人にも乗ってほしい」と切に願う。ショップには自転車で出かけるピクニックグッズや手入れのためのお洒落な工具箱も商品ラインナップに加えた。

何より笑中さんにはCA時代に日々「どうすればお客様に喜んでもらえるか」と考え試行錯誤した経験がある。購入客には手づくりの保証書をつけサンキューカードを添える。

再開から1年半。売上目標にはまだ遠いが、苦労した分だけ手応えになって返ってくる充実感がある。

代表 笑中(しょうなか)ふみ氏

(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)

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2017年10月06日
PALM GARAGE
代表  
笑中(しょうなか)ふみ氏
事業内容/カスタム自転車の販売
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