金属加工×緑化が生み出した新しい空間提案のカタチ

切断、曲げ、溶接などの金属加工を手がける梅南鋼材株式会社と、オフィスの緑化、外構・造園工事などを展開する株式会社緑匠。ふだん交わることのない異業種の両社が「空間展2024」で出会ったことをきっかけに、緑化に特化した金属製品ブランド「ALVEA(アルヴィア)」が生まれた。この「掛け算」によってどのような化学反応が生まれたのか。コラボ商品誕生と開発の経緯について両社の担当者に聞いた。
目次
■ 向かい合わせのブースが出会いのきっかけ
梅南鋼材株式会社 長谷川(以下 長谷川):本社建物は1階が金属加工工場、2階が設計や営業部門が入る事務所で構成されています。女性社員が多いこともあり、「おしゃれな環境で働きたい」「居心地の良い職場づくりを」という声を聞いていました。そのタイミングで昨年秋に開かれた「空間展2024」に出展したところ、向かいのブースに緑匠さんがおられ、オフィスに緑を提案する空間づくりに惹かれました。
株式会社緑匠 香山(以下 香山):梅南鋼材の社長が弊社のブースに来られて、「この雰囲気をうちの殺風景な事務所にも取り入れたい」とオフィス緑化を検討してくださり、こちらとしても「ぜひ一緒にやりましょう」とお願いしました。日を置かずに梅南鋼材さんの事務所を訪ね、緑匠が過去に手がけた施工例などを見ていただきながら、どのような緑化をされたいのかを長谷川さんから直接お伺いしました。

梅南鋼材株式会社 営業部 部長 長谷川 千咲氏
■ 金属の美しさを活かした枠と植栽を組み合わる
長谷川:せっかくなら、弊社の金属加工技術を植栽に生かしたいと考えました。緑匠さんからご提案いただいた資料には木製のフレームを使った施工例が多く掲載されていたので、金属の美しさを活かしたフレームと植栽を組み合わせて商品化できませんかと提案しました。
香山:オフィス緑化では、植栽にさまざまな資材を組み合わせることはありますが、他社とコラボをして商品を開発するのは初めての経験でした。しかも、“緑”と“金属”を合わせるのも初めての試みで、どんな商品が生まれるのかワクワクしました。

株式会社緑匠 取締役 香山 沙紀氏
■ 従業員が自社の素材を身近に感じられるように
長谷川:事務所の装飾に際しては、現場で使用されている製品を普段見る機会がない従業員にも、自社の素材を身近に感じてほしいという思いがありました。そのため、当社で扱っている真鍮、鉄、ステンレス、アルミ、銅の5つの素材を使って5種類のフレームを作ってほしいとお願いしました。当初はシンプルな金属フレームを作るつもりでしたが、レーザー加工技術をアピールできる美しい和柄を施したいと思い、デザインに取り入れました。
香山:事務所の空間で存在感を発揮できるよう、フレームの大きさについては50cm四方としました。設計にあたっては、植栽や壁面施工に適した構造などをアドバイスしました。試作を経て、強度面などの改善を加えていき、完成しました。

■ アルミの素材特性を活かし、商品化へ
長谷川:当社は数年前から自社の加工技術で作るインテリア製品のブランド「BLUM」を展開しています。この緑匠さんとのコラボで生まれた製品も、ぜひ商品化したいと考えました。5つの素材の中でも、軽くて加工の自由度が高く、アルマイト処理によって多彩な色味を実現できるアルミを選びました。製品名は“Aluminum(アルミニウム)”と イタリア語で緑を意味する“Verde”を組み合わせた「ALVEA(アルヴィア)」に決めました。
香山:サイズは、壁に飾れる50cm四方、30cm四方に加え、卓上に置ける15cm四方をそろえました。
長谷川:15cm四方の商品を催事で初めて一般消費者向けに販売したところ、評判は良かったものの、一般消費者には価格が高いという声もあったため、BtoBでの販売が適していると考えています。今後は展示会への出展を通じて販路を広げ、オフィスの環境改善をめざす企業向けに提案していく予定です。

■ コラボで広がる可能性
香山:金属との組み合わせによって植栽に高級感を加えることができるようになりました。オフィスだけでなく、ホテルやカフェなどへの展開も考えています。フレームにレーザー加工で企業のロゴや名前を入れられるようになれば、お客さまに喜ばれるのではないかと思っています。また、正方形のほかに長方形タイプの開発も現在検討しているところです。これまでは、空間に合わせて現場で植栽のやり方を考えるのが常でしたが、金属フレームという商品を使うことにより、提案の幅が広がりそうです。今回のコラボによって全く新しい発想が生まれたことに感謝しています。
長谷川:「自社の強み」 ×「異業種の発想」×「働く人の想い」から生まれた「ALVEA」が「町工場でもおしゃれで心地よい空間がつくれる」というメッセージの発信につながり、若い世代の採用促進や、ものづくり業界全体の魅力発信にもつながることを期待しています。今後も金属の特性を活かしてかけ合わせられるものがないか、新しいコラボの可能性を追求していきたいと思っています。

(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)
梅南鋼材株式会社 営業部 部長 長谷川 千咲氏
株式会社緑匠 取締役 香山 沙紀氏
https://www.bainan.jp
https://www.ryokushou.jp
https://www.instagram.com/blum_project









