ユーザーの声が開発の原動力 眠りを癒しに変える寝具メーカー
寝具の企画・製造と卸売、OEM生産を行うルナール。眠るためだけの寝具から一歩進み、健康をテーマにした機能性寝具を手がけている。創業は大正時代。布団の打ち直しを行う街の商店から出発し、寝具の企画メーカーへと成長。昭和40年代には傘下にルナールチェーン店を約200店舗まで拡大した。
当時、寝具問屋といえば大手メーカーの品物を卸すことが主流だったが、オリジナルにこだわり、自社で製品を開発。チェーン店では店頭での販売のみならず、周辺地域の顧客訪問も積極的に行った。クレジット支払いがない時代から、無金利での分割払いにも対応。
「売った後から半年以上集金に伺うわけですから、良い製品でなければ代金を回収できません。商品への感想も集金時に聞くことができる。自社で製品開発を行う当社にとって、ユーザーの声を聞く機会はとても貴重だったのです」と鳥本氏。
ニーズやクレームを素早く製品に反映させる姿勢は今に受け継がれ、数々のヒット商品を生み出した。「敷布団うすかーる」もその一つ。約2㎏、厚さ3㎝のコンパクトな敷布団は、毎日の布団の上げ下ろしの負担軽減だけでなく収納スペースもとらないため、発売から2年で約1万6000枚を出荷。付加価値の高さで価格競争に巻き込まれることもなく、安定した実績を誇っている。
一般消費者から商品に関して意見を聞くことができる大阪産業創造館のモニターイベントにも参加。「ユーザーの意見やクレームにどこまで真剣に取り組むか。当社の強みはそこにあると思っています」。的確でスピーディーな対応力はOEM分野でも発揮され、細かいニーズや短納期・小ロット発注にも対応が可能。その強みをいかして、さまざまな業界の企業とタイアップして、新たな健康関連製品を送り出している。
(取材・文/北浦あかね)
株式会社ルナール
代表取締役
鳥本 裕嗣氏
設立/1962年 従業員/15名
事業内容/寝装品およびリビング関連商品の企画・製造・販売。OEM、オリジナル製品のコンサルティング及び製造。消費者のニーズを吸い上げ、生活の中にある不便・不満を解決していく製品開発が持ち味。快適な眠りによる健康と癒しを提案している。