産経関西/産創館広場

経営計画書を指針に新事業展開

2014.11.17

生活に欠かせない水を届ける水道など設備工事を行う株式会社三進(大阪市東住吉区)。1959年に創業し、大手サブコンの下請として施工技術を提供してきたが、業界規模が縮小傾向。三代目を継ぐべく入社していた斉藤竜久氏は将来に危機感を感じ、太陽光発電の施工などの新規事業をはじめ、さまざまな周辺事業を開始していた。限られた人員で思うような成果を上げられずにいたが、今から3年前、場当たり的に進めていることに問題があると気づき、中期経営計画が必要だと思い至る。

まずは、3年後の経営ビジョンを明らかにするために、現状分析から取り組んだ。

これまでの実績を振り返る中で、同社は特に給排水に関する衛生設備工事に技術的・設計的な強みを持つことを改めて再確認した。

そこで、顧客層をビル管理会社や設計事務所などの関連事業者に拡大。重点顧客を設定してアプローチした結果、徐々に顧客数は増えていった。

2013年に斉藤氏は社長に就任。経営計画の実行性を高めるには、従業員と共通の目的意識をもって臨むべきだと、経営理念の意味を小冊子にまとめて配布。自社の存在価値が何であるかを社内で共有化できるようにした。

自社の強みを意識的に情報発信していく中で、ある寺院から相談が持ち込まれる。洋式トイレではなく老朽化した和式トイレでは高齢の檀家の人々が不便を感じ、来院が遠ざかる原因の一つだとしてリニューアルしたいというのだ。

木造の古い建物では、配管なども想定外な点が多く工事は困難であったが、これまで蓄積してきたノウハウを発揮して完成に漕ぎつけた。

老朽化した施設のトイレのリニューアルは、施主にとっても集客につながる。「自社の強みを打ち出すことで新たな顧客を開拓できるだけではなく、顧客の事業の役にも立つ。これからも積極的に取り組んでいきたい」と語る。

今年度で3年前に策定した中期経営計画書は最終年度を迎える。次の3年を見据え、「水」を軸としてどんな価値を提供していく会社になるべきか、経営計画書を指針に新たな事業展開を図ろうとしている。

(経営相談室 コンサルタント 東純子)

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株式会社三進

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