アクアリウム生かした癒しの空間
「水槽」「熱帯魚」を使った「アクアリウム」という概念がビジネスの世界で注目を浴びている。株式会社a.a.c.(エー・エー・シー、大阪市西区)の浦田恭資(きょうすけ)社長は、幼少時代を自然の中で過ごしたこともあり、当時から熱帯魚に惹かれていた。高校卒業時に専門学校の資料で「水槽メンテナンス」という仕事の存在を知りつつも、いったんは親の意向で大学へ進学した。
しかしアルバイトは「水槽メンテナンス」だった。アルバイトを通じて更に興味を持ち、当時出会った水槽メンテナンス業の社長から「自分でやってみないか」という話が来たこともあり、在学中に個人事業主として熱帯魚用水槽メンテナンスの業務委託を始めた。と同時に「水槽メンテナンスだけでは、水槽の内部しか自分で手を加えることができない」というジレンマを持っていた浦田氏は「水槽や熱帯魚を活かした空間創りがしたい」という思いで、インテリアコーディネーターの勉強をし、講義がある度に「アクアリウムを取り込んだインテリア」への想いを持ち続けた。その想いが通じたのか、人脈が広がり、「自分のやりたいことが実現できる」という思いを抱き、約8年の業務委託を終了させ、2009年6月に会社を設立した。
メーン商品は「インテリアアクアリウム」。新築の住居やオフィス、病院などで癒やしの空間を提供できる商品として人気を博している。そして今は「アクアリウムフラワーアレンジメント」という、造花を使った贈り物用のアクアリウムも新装開店祝いなどで徐々に認知度が高まっている。縮小傾向にある水槽メンテナンス業界の中で、前年に比べて大きな売り上げの伸びを達成するなど注目を浴びている。
「人との出会いやつながりが大切。まずは一緒に仕事をした人と仲良くなることから」という心がけで信頼を得ながら、デザイナーやアーティストなどとの幅広い人脈を活かし、モデルルームや博物館のギャラリーでの展示販売、アートギャラリーでの個展など、多方面で活躍している。「クリエイターと消費者を繋ぐ役目としてアクアリウムは非常に魅力的。この魅力を伝え、水槽メンテナンス業界の殻を破る」のが目標だ。
(大阪産業創造館 プランナー 門田知久)
▲造花を使った贈り物用の「アクアリウムフラワーアレンジメント」。今注目の商品だ
株式会社a.a.c.(エー・エー・シー)