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三次元データで「正確な手術支援」

 手術を正確に行う、という目標に向けて骨関節手術支援システム開発に株式会社オルスリー(大阪市北区)の五島誠社長が挑んでいる。同社は大阪大学大学院医学系研究科講師の村瀬剛氏の研究成果である、手術前に行う三次元シミュレーション技術の事業化をめざし、2009年4月に創業した、大阪大学発のベンチャー企業だ。

 高齢化社会の進展で、加齢とともに骨や関節に疾患を持つ患者も増え、骨の矯正、切除、人工関節への置き換えなどの手術数も増加すると考えられている。骨折により、骨が変形したままで不自由な生活を強いられている方も多い。現在、整形外科で骨や関節の疾患は、レントゲンなどの二次元画像を用いて診断が行われている。実際に手術を行う場合のシミュレーションは、この二次元画像からトレーシングペーパー上に骨の輪郭をなぞって、ハサミで切り貼りし、骨を切除する範囲や矯正する角度を計算する。この方法では切除面の設定や矯正する向き、角度の正確性に欠け、手術で当初の計画を実現するためには、高度な技術と経験、そして時間が必要となる。

 オルスリーではその点に着目し、CTやMRIなどで撮影された医療画像からパソコン画面上で骨を三次元画像モデルとして再現できるソフト「Bone Viewer(ボーン・ビューアー)」を開発。そのデータは、回転や拡大縮小も容易にできるため、さまざまな角度から骨の状況を診断することが可能になった。

 また、この三次元画像モデルを使って、手術のシミュレーションを行うソフト「Bone Simulator(ボーン・シミュレーター)」も同社で開発。このソフトを使って、骨の切除範囲や手術時に必要な治具を設計できるので、将来的には疾患の骨に合わせて作られた手術支援治具を用いて個人ごとの医療を実施できると考えている。これらシミュレーターはりそな中小企業振興財団のソフトウエア部門優秀賞を受賞した。精度の高い三次元データで診断から手術シミュレーションまでを容易に行え、診断、手術に関わる整形外科医の負担を軽減することに貢献する方針だ。五島社長は「整形外科医の先生方のさまざまなニーズを捉えて、機能を追加し、より多くの方に使ってほしい」と語る。この三次元画像モデルを用いた「正確な手術支援」は、患者と医師双方にとって安心感を与え、よりよい手術が実現できる可能性を秘めている。

(大阪産業創造館 新産業創造推進室プランナー 田中良典)

オルスリー▲Bone Simulator(中央)で骨に疾患を持つ患者をサポートする

2012年05月28日
株式会社オルスリー
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