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明るく、楽しく、美しく「大人バレエ」を普及

2025.10.06

CHERIE(シェリ)のバレエ教室には20代から70代まで幅広い年代の女性たちが集まってくる。目的も、「身体を柔らかくしたい」から「舞台に立って踊りたい」までさまざま。「超入門」から「中級」までレベルに応じたクラス分けで、ステップアップできるように工夫している。

春田氏がモットーとして掲げるのは「明るく、楽しく、美しく」。教室内はいつも笑顔と活気にあふれているが、上達のために厳しい指導も辞さない。「バレエの基礎が身につけば、姿勢や所作が美しくなり、自分に自信が持てるようになります。バレエを通して一人ひとりの夢をかなえたい」。そんな思いが生徒たちに伝わり、大阪・東京を中心に5店舗、在籍数は1,000名ほどにまで増えている。

代表取締役 春田 琴栄氏

春田氏は3歳からバレエを始め、高校卒業後はバレエ教室のアシスタントとして働きながら短期留学を繰り返し、フィットネス業界でも働いた経験を持つ。その後、フリーの講師として全国を飛び回る中で「大人バレエ」の可能性に着目し、大人も気軽に始められる教室を2014年大阪に、2022年には東京にも開講した。また、「春田先生の着ているウエアを私も着てみたい」という生徒たちの要望に応え、バレエ用品のセレクトショップも開いた。

バレエショップシェリ 心斎橋店

コロナ禍ではすぐにオンラインレッスンに切り替えたが、自宅の床が滑りやすく思うように体が動かせないことに気づいた。そこで、バレエ用の床材であるリノリウムを、部屋で使いやすいサイズに加工して販売することを思いつき、オンラインショップで販売したところ、瞬く間に完売するヒット商品となった。「コロナ禍で会社を縮小することも頭をよぎりましたが、以前より収益を確保でき、安心して働いてもらえる環境を提供できました」。

バレエ界には、厳しい徒弟制度や発表会の費用が別料金で請求されるといった古い慣習が一部に残っている。そうした状況に違和感を覚えた春田氏は生徒の自主性を重んじ、料金体系も明朗にした。また、春田氏には「CHERIEをバレエ人材が活躍できる場にする」という信念がある。「先生が主で、アシスタントは薄給が当たり前という環境で育ってきたバレリーナに、自立し、会社をけん引する人材になってほしい」と語る。現在、従業員30名はすべて元バレリーナで、自由闊達な風土づくりを進めている。2024年秋にはYouTubeチャンネルを開設。レッスンの内容を惜しみなく公開しているだけでなく、バレエ界の実情についても発信している。

満ち溢れるエネルギーは「誰もがバレエを楽しめる環境をつくり、バレエで自活できる働き方を実現したい」という思いに支えられている。

(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)
※掲載写真は、編集部にて撮影したもの以外に、取材先企業からご提供いただいた写真も含まれています。

株式会社CHERIE

代表取締役

春田 琴栄氏

https://cheriegroup.com

事業内容/バレエ教室の運営、バレエ用品の販売