500社を超える工場現場を見てきた経験を元に、産業設備のIoT化を支援
生活やビジネスの場に浸透し始めたIoT化の波が産業界にも押し寄せつつある。
その本丸は生産設備だ。さまざまなセンサーを使って設備の稼働状況や稼働率、生産個数、エネルギーデータなどをリアルタイムに把握するだけでなく、収集される膨大な情報を分析し、AI(人工知能)を使って設備の故障予測や働き方の見直しにつなげていくことも可能だ。
このIIoT(産業界のIoT)の大海原に、三上氏は独力で漕ぎ出した。
大手電機メーカーで工作機械の設置から操作指導、アフターサービスまでを担うインダストリアルエンジニアを19年経験し、500社を超える工場の現場をつぶさに見てきた。
かつてMtoM(マシントゥマシン)と呼ばれていた頃から設備のネットワーク化にもかかわり、導入事例を耳にするようになったタイミングを見計らって昨年4月に創業した。
オープンソースのLinuxを用いてソフトウエアも自身で開発し、「ユーザーからのニーズに合わせてさまざまなセンサーを組み合わせ、リーズナブルで柔軟なシステムを提案できることが強み」と話す。
だが実際にビジネスを始めてみると誤算があった。「IIoTのターゲットとして考えていた中小企業はおろか大企業でさえようやく腰を上げ始めたところ」だったのだ。
そこで大手から開拓すべく戦略を見直し、実績を示すための実証実験を進めている。実験の一つは高温多湿の苛酷な環境でも正常にデータが取り続けられることを示すためあえて温浴施設のボイラー設備を選んだ。
設備ごとの稼働状況やエネルギーデータの推移はモニターで集中監視でき、スマホでも見ることができる。「状況を遠隔監視でき、ある値に達すると知らせる機能などにメリットを感じてもらっている」と三上氏。
今後通信費が下がってくれば一気に導入が進むと見ており、「今は競合もほとんどおらずチャンスでもある。まずは一つでも多くの実績を積んで効果を感じてもらい、来るべきIIoT時代に備えたい」と先を見据えている。
(取材・文/山口裕史)
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